災害から文化財を守る 博物館など連携
大規模な自然災害から文化財を守ろうと、県内の博物館施設や文化学術機関が連携し、文化財を救援・保全する「県博物館施設等災害対策連絡会議」(会長=伊東史朗県立博物館長)が発足した。地震や津波、水害などで被災する可能性がある県内の文化財などの保全、被災した文化財の救援へ、関係機関の連携で対応の強化を図る。
発起人は県立博物館、近代美術館、紀伊風土記の丘、自然博物館の県内4施設と県教育委員会文化遺産課の各代表で、事務局は近代美術館に置く。文化財保護法上の文化財だけでなく、未指定の美術工芸品や歴史的資料、公文書なども対象とする。
県は国宝や重要文化財の数が全国第7位。東日本大震災や紀伊半島大水害が発生し、東南海地震をはじめとした巨大災害発生が懸念される中、文化財の保全に向けた体制づくりが急務とされていた。 全国では11県が同様の取り組みを進めている。平常時から文化財などの被災を軽減するための情報を共有し、協力体制を強化。災害発生時には、連携して文化財の一時避難や修復支援を行う。
10日に県立近代美術館(和歌山市吹上)で設立集会が開かれ、発起人を代表し、同館の熊田司館長が「各団体で情報交換を行い、連携や協力を密にすれば、非常時には大きな力になると信じている。連絡会議がそのような場になれば」とあいさつした。
続く総会では、平成27年度の活動計画として、文化財の所在把握と大規模災害発生時の相互連絡の仕組み▽大規模災害発生時における博物館等施設来館者や所蔵品の安全確保▽大規模災害発生後のレスキュー活動――について調査研究を進めることを決めた。
連絡会議には設立時現在、県内の図書館や県市町村教育委員会、大学など71施設・機関が加盟。今後も随時、施設や団体の加入を受け付ける(年会費無料)。