躍動と歓喜、絆の国体に幕 来年は岩手で

 44年ぶりの県内開催となった70回目の国民体育大会「紀の国わかやま国体」は6日、県選手団「チーム和歌山」が男女総合優勝に贈られる「天皇杯」を獲得し、成功裏に幕を下ろした。総合閉会式では、来年の国体が開催される岩手県の達増(たっそ)拓也知事に、仁坂吉伸知事から国体旗のバトンが託された。

 平成19年から足かけ9年をかけて準備が進められてきた今国体。有終の美を飾る総合閉会式は和歌山市の紀三井寺公園陸上競技場で秋篠宮ご夫妻を迎えて行われ、約1万2000人が参加した。

 晴れやかに入場行進し、整列した約1300人の選手団を前に、日本体育協会の張富士夫会長から県選手団代表の横尾英治選手(64)=剣道、県スポーツ振興財団=に男女総合優勝の表彰状が、秋篠宮さまから吉田隆起選手(18)=レスリング、和歌山北高3年=に天皇杯が、紀子さまから女子総合優勝の東京都代表に皇后杯が手渡された。

 張会長は県選手団の天皇杯獲得をたたえ、「皆さんの活躍は大会を大いに盛り上げ、全国各地の方々に勇気と元気を与えてくれた」とあいさつし、世界大会や東京五輪に向けて、より一層の精進を呼び掛けた。

 26日に開幕する全国障害者スポーツ大会「紀の国わかやま大会」に炬火(きょか)を引き継ぐための「分火」は、県選手団の笠井佑樹選手(17)=ソフトテニス、和歌山信愛高3年=が走者を務め、炬火台から点火したトーチを手に競技場を半周して、わかやま大会に出場する生馬知季選手(23)=陸上競技=に手渡した。

 達増知事に国体旗を手渡した仁坂知事は、「いわて国体が復興の懸け橋となる大会として大成功を収められるよう祈念する」と閉会を宣言。会場は盛大な拍手に包まれ、熱戦の余韻がさめやらない「紀の国わかやま国体」は終幕した。

 最後に県選手団は、退場する県外の選手たちに県内8小学校の4~6年生が前日に作った花束をプレゼントし、笑顔で見送った。

 紀の国わかやま国体は平成19年3月に開催が内々定。同22年に内定、同24年に決定した。県は「躍動と歓喜、そして絆」をスローガンとし、天皇杯の獲得や「和歌山を元気にする国体」などの目標を掲げ、競技力向上やおもてなし、インフラ整備などに取り組んだ。

県内の児童が作った花束を手に入場行進する県選手団

県内の児童が作った花束を手に入場行進する県選手団