「時間」も有限な資源 働き方改革シンポ

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス、WLB)が取れた魅力ある職場環境づくりを考えようと、「和歌山働き方改革シンポジウム」が12日、和歌山市の県民文化会館で開かれ、中央大学大学院の佐藤博樹教授が「なぜ働き方改革なのか? 管理職の役割が鍵」をテーマに講演。WLB支援の実現に向け、管理職に「時間」も有限な経営資源と捉える視点を持つよう呼び掛けた。

近畿で最も早いスピードで進む県の少子高齢化を食い止めようと、和歌山労働局、県、市、県経営者協会、連合和歌山は「和歌山働き方改革宣言」を6月に取りまとめ、改革実現に向けて取り組んでおり、シンポジウムはその一環。

佐藤教授は、管理職が行うべき部下マネジメントの基本として、①社員に自分の役割を理解させる②社員の仕事に必要な能力を開発・育成する③社員の仕事意欲を高い水準で持続させる――ことの3点を紹介。特に最近は「社員の価値観やライフスタイルが変化し、仕事以外で大事にしたいこと、取り組みたいこと、取り組む必要がある人が増えてきた」と、相対的に③の重要性が高まってきているとし、働き方改革の必要性を説いた。

WLBは「社員が仕事と、仕事以外で取り組みたいことの両立ができること」と定義。両立できない(ワーク・ライフ・コンクリフト、WLC)状態にある社員は仕事に意欲的に取り組めなくなるとし、「社員がWLCに直面しないようにしたり、直面した場合はその解消を図ることが人材活用の課題」と話した。

そして、これまでの働き方が「仕事が全て完了するまで『時間資源』の追加投入を行う」ものだったのに対し、これからは「時間資源の範囲内で実現可能な仕事の付加価値の最大化」を目指すべきだと強調。無駄な仕事の排除、仕事の優先順位付け、過剰品質の解消などで時間資源の合理的・効率的な活用を呼び掛け、「恒常的な長時間労働を前提とした職場ではWLB支援は実現できない」と、社内の意識改革を訴えた。

講演の後はパネルディスカッションが行われ、オークワ、島精機製作所、新中村化学工業の役職員がパネリストとなって「働き方改革から活き活きとした企業づくりへ」をテーマに意見を交わした。

講演する佐藤教授

講演する佐藤教授