子どもの居場所作りなど 県教委分993億円
県の平成28年度一般会計当初予算案のうち、県教育委員会所管分は前年度比0・1%増の993億489万円となっている。全体の89・3%を占める人件費は職員定数78人減(学校関係73人、事務局5人)などで前年度より7億241万円を削減し、885億4719万円。新規事業8事業に計1億2054万円を計上している他、紀の国わかやま国体終了などに伴う組織の新体制整備を行う。
主な新規事業として、共働きや単身家庭により、放課後などに一人で過ごさなければならない子どもを支援する「子どもの居場所づくり」に2062万円を計上している。各市町村教委が公民館などの社会教育施設に「子どもの居場所」を開設し、地域住民らとの交流や自学自習の支援を行う。子どもの学習意欲の向上や学習習慣の確立の他、自己肯定感や自尊感情の高揚、コミュニケーション能力の向上を推進する。
変化する社会や経済に対応し、国際的な視野をもって地域社会に貢献できる人材を育成するための「イノベーションスクール推進」には466万円を計上。2030年に予想される地域課題について世界の生徒と交流しながら解決を考えるOECD(経済協力開発機構)のプロジェクト「OECD地方創生イノベーションスクール2030」に昨年から参加する県立海南、那賀、田辺、日高高校の取り組みを、普通科高校などに普及する。
また、地域住民と協力して地域課題の解決に取り組む他、海外にパートナー国を設定し、世界共通の課題解消についてパートナー国の生徒とオンライン会議をしたり、現地訪問したりして考える。
この他、県内の就職率向上や地元産業の担い手育成のため、職業系専門学科などの高校生を対象に地元企業で3年間を通した職業体験を実施する事業に158万円、36年度まで県で固定開催される全国高校総合体育大会のヨット競技大会の開催に2301万を計上している。
新体制については教育の課題に迅速に対応するため、各市町村の教育支援を行う県教委の出先機関「教育支援事務所」を現行の4カ所から5カ所に再編。日高総合庁舎内の紀中教育支援事務所は「日高教育支援事務所」、有田総合庁舎内の紀中教育事務所有田分室は県教委の管轄だった海草地域を含めて独立し、「海草・有田教育支援事務所」とする。
紀の国わかやま国体終了後も競技力を維持、発展させていくため、スポーツ課の競技スポーツ班を「競技力向上推進班」に再編。円滑に業務を運営するため、県立学校教育課と義務教育課にそれぞれ総務班を設ける。高校総体推進課は昨年、県を幹事県に開催した高校総体終了に伴い、廃止となる。
【その他の新規事業】大規模展覧会「花開く大正の洋画とヨーロッパの美術」(仮題)=モネの「クルーズ川の岩場」やゴッホの「雪原で薪を集める人びと」といった明治末から大正期にかけて活躍した作家の名作を県立近大美術館で公開(4109万円)▽高校生チャレンジ推進=世界大会や全国大会などに挑戦する生徒を支援(269万円)▽学習指導支援員派遣=優れた教育実践力のある退職教員などを高校へ派遣し、生徒、若手教員を支援(260万円)