被災地の文化財盗難注意 学芸員の発信話題
熊本県を中心とする地震の被害を受けて、和歌山県立博物館の仏像研究の学芸員がツイッターで発信した文化財盗難啓発に関する投稿が全国で大きな反響を呼んでいる。
「急告」の見出しを付けた投稿は、「熊本県下で、宗教施設(寺院・神社)からの文化財の盗難被害と、その転売が確認されています。所蔵者の皆様、防犯意識を強く持って下さい。宗派や教団の関係者の皆様、なにとぞ組織内で注意喚起をお願いします」と呼び掛け、さらに、盗難品の現金化に利用される場合がある古美術商や古物商に向けて、「不審な持ち込みは拒絶し警察への通報をお願いします」と促している。
専門家の視点からの注意喚起にネットユーザーらが反応。普段は10件ほどというリツイートは、投稿した20日から2日間で4500件を超えた。
学芸員によると、今回の発信は、熊本地震被災地の神社から盗まれたとみられる刀がインターネットオークションで確認され、九州を中心に研究者らが状況確認を行うなどの動きがあったことがきっかけ。
学芸員は電話取材に対し、「震災の混乱に乗じて空き巣被害があるように、文化財が盗まれてもまったく不思議ではないので、関係者の人たちにも、防犯意識を高めてもらえれば」と話している。
県内では平成22年から23年春にかけて、山間部の小規模の寺院や神社を中心に、仏像などの文化財の盗難被害(被害届60件、被害品160点以上)が相次いで発生した。