城下町の今昔地図 歴史地理研が学校に寄贈

和歌山歴史地理研究会(水田義一会長)は、江戸時代の和歌山城下町と現在の市街地図を重ね、時代による変化を見ることができる地図「城下町が息づく和歌山を歩こう」を、和歌山市の小中高校76校に寄贈した。

同地図は和歌山地理学会が平成20年に発行し、その後、同研究会が改訂した。安政2年(1855)の城下町地図と現在の地図を重ね合わせ、武家屋敷や神社など当時の領地区分に合わせて色分けされている。改訂では、徳川吉宗や南方熊楠など歴史上の人物の生誕地を示し、紀州藩の家老の屋敷には名前を入れるなど、昔の街並みにより親しみやすい内容となっている。

寄贈式は17日、市役所市長室で行われ、同研究会から水田会長と額田雅裕幹事、市側から尾花正啓市長、勝本泰弘学校教育部長らが出席。水田会長は今回の寄贈について「城下町の名残というと和歌山城周辺にしか残っていないように思われがちだが、実は街中に残っている。歴史ある和歌山の街を市民に楽しみながら歩いてもらいたい」と話した。

尾花市長は感謝状を贈り、「今と昔の地図を重ね合わせることは苦労されたと思う。城下町の広がりが感じられる素晴らしい地図。寄贈を受けた学校の生徒らには街を歩いてもらって、郷土の歴史にふれてもらい、愛着や興味につながれば」と述べた。

同研究会は、昭和38年発足の和歌山地理学研究会、55年発足の和歌山地理学会などを前身に、ことしで設立5年目を向かえる。昔の地理研究を中心に活動し、城下町を歩きながら昔の街並みや文化財を解説する見学会などを開いている。

地図の寄贈先の内訳は、市内の小学校55校、中学校19校、高校2校。

尾花市長㊧に地図を寄贈した水田会長㊥と額田幹事v

尾花市長㊧に地図を寄贈した水田会長㊥と額田幹事