存続願う絵手紙電車 100周年の貴志川線
絵手紙で和歌山電鐵貴志川線の車内を飾り付ける「もっとずっと貴志川線応援メッセージ、絵手紙電車」がことしも10月16日まで運行中。開業100周年、和歌山電鐵の運営になって10周年の節目に、依然として赤字が続く同線の存続と利用増を呼び掛けており、企画した岩出市金池の島本忠生さん(74)は「全国的にも珍しい取り組みです。ぜひ作品を見てもらいたい」と話している。
絵手紙電車は、絵手紙を通じて同線や沿線地域への関心を高めてもらおうと、島本さんが県立桐蔭高校時代の同級生で住民団体「貴志川線の未来を“つくる”会」代表の濱口晃夫さんに相談したのがきっかけで実現。3年目を迎え、地域住民による同線活性化イベントとして定着している。
作品は、国内外から中高年の女性を中心に、過去最多の1715通の応募が寄せられた。島本さんによると、国内での同様の取り組み例は、ひたちなか海浜鉄道(茨城県)と上信電鉄(群馬県)の2件のみで、いずれも貴志川線より小規模だという。
島本さんは日本絵手紙協会会長(当時)の小池邦夫さんを紹介したテレビ番組に影響を受け、妻の佳代子さんと共に絵手紙の研究・指導に取り組んできた。現在は岩出・和歌山・橋本に指導の拠点を置き、敷居が低く、誰でも気軽に取り組めることが大きな魅力と語る。
今回は39都道府県とアメリカ、カナダから届いた作品を地域やグループごとに列車内に掲示し、一つひとつに作者の名札が貼られている。応募は県内と大阪府からが多く、県内は和歌山市と岩出市からが中心だった。
島本さんに指導を受ける絵手紙愛好家と、つくる会のメンバー約10人が同線職員と共に車内の飾り付け作業に取り組んだ。絵手紙電車は期間中、一日6~13往復する予定で、運行開始から1週間がたち、好評の声が寄せられている。
島本さんは「動く展示会場も面白いと思って企画しました。絵手紙は短い言葉に思いを込められるのも魅力です。ぜひ足を運んでほしい」と乗車を呼び掛けている。
絵手紙電車の問い合わせは和歌山電鐵(℡073・478・0110)。