ふるさと納税制度見直しを 和歌山市が提言
和歌山市の地方創生の推進を目的に、国への制度提案や新規採択、予算確保のため、尾花正啓市長は27、28日、東京で県選出国会議員や関係省庁に対して要望活動を行う。
要望事項は全39項目で、主な項目は、①補正予算・経済対策②まちづくり③観光振興④子育て・教育⑤社会保障⑥防災・国土強靱化――など。その他として、東京五輪・パラリンピック参加国との人的・文化的相互交流の推進に向けた支援なども盛り込んだ。
22日の定例会見で「重視する3つの項目を挙げるとすれば」の質問に尾花市長は、来年4月に統合される市立本町小学校などの「廃校舎を活用した大学誘致への支援」(国土交通省)▽まちなかに必要な都市機能を誘導・整備して居住を推進する「コンパクトシティに向けたまちづくりの推進」(同)▽和歌山城の扇の芝や二の丸御殿(大奥)の復元計画を進めるための「紀州徳川家の居城 和歌山城復元への取組」(文化庁)――を挙げた。
総務省への要望では「ふるさと納税制度」の見直しを挙げている。返礼品目当てで寄付する自治体を選ぶ状況が目立つなど、ふるさとを離れた人が出身地などに納税する本来の趣旨に反しているとした上で、尾花市長は「全国の自治体が競えば競うほど、財源が厳しくなる」と述べ、返礼品の競争加熱や、一部の自治体だけに寄付金が集まる現状に危機感を示し、国に制度の見直しを求めることを表明した。
市民が他都市に納税した場合と、市外の人が市に納税した場合を比較すると、同額の納税であっても、「返礼品に充てる金額分だけ市の事業に活用できる財源が減少する」として、市は制度の矛盾を指摘している。
インターネット上では、全国の返礼品をまとめたポータルサイトが運営され、高級牛肉や魚介類の他、旅行券や美容系商品、アクセサリーなどのファッション商品までが並び、ショッピングサイトのような感覚で紹介されている。
今回の要望により、過度な自治体間競争を是正する流れにつながるかが注目される。