十三仏と花巡る天井画 田辺市に完成

建築デザインなどを手掛ける、田辺市出身の田村茂さん(68)=大阪府阪南市=らが、田辺市中辺路町にある福巖寺(通称=一願寺)に奉納しようと制作を進めてきた天井画が、このほど完成。
「十三仏と四天王像と四季の花々」として、お披露目された。

奉納者は、海南市重根で左官業を営む小川昇さん(60)。仕事を通じて同寺と縁があり、ことしが厄年に当たるため、厄落としの意味合いも込めて、高野山や九度山町などで数々の天井画を手掛けてきた知人の田村さんに相談し、奉納を申し出た。

同寺は「安珍・清姫物語」の清姫の菩提寺。完成した天井画は「一つの願いを必ずかなえてくれる」という、一願地蔵尊を祭る建物内にある。

地上から高さ3・5㍍ほどの天井で、85㌢四方のベニヤ板の格子60枚を生かして制作。和歌山市の画家・中森順一さんが講師を務める絵画グループ「粋洋会」(すいようかい)の13人の他、田村さんの知人ら総勢25人が協力した。

田村さん考案の彫板(ちょうばん)画で、十三仏と四天王が表現され、その周りを色彩豊かな四季の花々の絵画が囲む。四季の花には、さまざまな表情の小さなお地蔵さんが愛らしく描き込まれている。

橋本市の「紀州高野組子細工」工芸家の池田秀峯さんも参加。池田さんは5月に近隣火災に巻き込まれ、工場や作品が焼失する不運に遭ったが、今回のために制作した9枚のうち、8枚はすでに田村さんが預かっていたために難を逃れた。

レディー・ガガとコラボアート書道を披露した経験もある大阪府の書道家・上平梅径(ばいけい)さんが作品名を揮毫(きごう)した。

奉納者の小川さんは「日本全国探しても他に例がなく、誰もまねできないような立派な天井画ができた」と完成を喜び、田村さんは「十三仏に干支の守護仏を探したり、四季の花々に描かれたお地蔵さんを探したりしながら楽しんでもらえれば」と話している。

このほど行われた奉納式で

このほど行われた奉納式で