緊急時の事業継続を 中央会がBCP研修会
全国各地で災害が相次ぐ中、危機的状況下での行動を事前に策定する事業継続計画(BCP)について学ぶ「事業継続マネジメント(BCM)研修」(県中小企業団体中央会主催)が1日、和歌山市屋形町のルミエール華月殿で開かれ、企業の災害対策責任者など23人が参加した。
事業継続主任管理者で紀陽リース・キャピタル㈱の黒川久生さんがBCPについて解説した後、大地震の発生を想定した模擬訓練を体験した。
黒川さんによると、BCPは平成13年に米国で同時多発テロが発生した直後に初めて注目され、同23年の東日本大震災で事業の継続が困難に陥る企業が多く現れたことから、注目度が飛躍的に向上。すでに大企業の約7割が策定済みといわれており、中小企業への拡大が急務となっている。
黒川さんはすでにBCPを策定した企業の例を紹介しながら、日本企業のBCPについて、想定している被害状況が軽微な上、策定した計画の検証に必要な訓練が不足していることを指摘。「ただ作るだけでなく、訓練を通じて計画内容の確認と理解の定着を図ることが重要。東日本大震災では、策定したBCPを活用できない企業が多くあった」と話した。
BCPは災害時に会社や従業員を守るだけでなく、政府の積極的な後押しもあり、策定しているかどうかが営業活動における取引先の選定基準の一つとなりつつあるという。
講義終了後、紀伊半島沖でマグニチュード9の大地震が発生したと想定し、社長や役員が不在の中、社内で災害対策本部を立ち上げ事業継続に何が必要かを考える模擬訓練が行われ、参加者は4つのグループに分かれて話し合い、必要と考えたことを書き出すなどした。
参加した製造業・情報システム関係の会社員の男性は「会社でも防災計画は作っていますが、ここまで詳細に災害を想定した訓練は初めてで、緊迫感があり慌てる場面もありました」と話した。