図書館運営を考える 市民が指定管理議論

 公立図書館の運営について考える市民らの学習会が8日、和歌山市小松原通の県民文化会館で開かれ、9人の参加者が指定管理者制度導入による課題などを話し合った。市が新しい南海和歌山市駅に併設を予定している新市民図書館の計画を受けて開催された。

 司書として勤務経験がある女性市民の呼び掛けで実施。講師に元大阪府立図書館司書で、現在、図書館問題研究会大阪支部事務局長などを務める脇谷邦子さんを迎えた。

 脇谷さんは、平成20年から始まった図書館の指定管理者制度について、導入している図書館は全国で13%程度(同27年調査)にとどまっていることを示し、「他の分野では制度が浸透しているが、図書館にはなじまないし、費用もそれほど変わらない」と、公益性の観点から民間への運営委託の流れに疑問を呈した。

 その他の課題としては、市外企業が指定管理を受注した場合、市内に利益が回らないこと、受注した事業所により運営方針が変化すること、運営ノウハウが市に蓄積されないことなどが指摘された。

 脇谷さんは「民間運営により図書館が激変することはないが、気が付いたら禁止事項が多くなっているなど、サービスが低下することのないように、市民の関心を高める必要がある」と強調した。

さまざまな意見が出た学習会

さまざまな意見が出た学習会