県内初の立春朝初搾り 中野BCで縁起酒
立春の朝に搾った新酒をその日のうちに出荷する、日本名門酒会主催の行事「立春朝搾り」が4日、県内で初めて海南市藤白の中野BC㈱(中野幸治社長)で行われた。同行事は20回目を迎え、ことしは過去最多となる34都道府県の蔵元40社が参加した。
全国の蔵元約120社、加盟酒販店約1700店でつくる同会(主宰=㈱岡永、東京都)が、立春の日に搾り、無病息災、家内安全、商売繁盛を祈願した縁起酒で春の訪れを祝ってもらおうと、全国の蔵元に実施を呼び掛けている。
中野BCでは同日未明から、杜氏の端(はな)博之さんら蔵人11人が、純米吟醸「紀伊国屋文左衛門」の新酒を搾る作業を開始。早朝には出荷先の酒販店10店が駆け付け、約20人が瓶詰めを終えた四合瓶(720㍉㍑)約1000本に「立春朝搾り」のラベルを丁寧に貼り付けていった。
箱詰めの後、藤白神社の吉田朋広禰宜が蔵内の稲荷の前で祈祷(きとう)。同社の中野幸生会長や従業員が集まり、中野社長、端さんらが玉串をささげた。その後出荷され、県内では近鉄百貨店和歌山店など4店舗で販売される。
出荷を終え、中野社長(41)は「皆さんにラベルを貼ってもらい、これから購入されるお客さまの顔が楽しみ。端杜氏もここでの仕込みが2年目となり、良いお酒に仕上がってきている。率直な評価をいただければうれしい」と話し、端さん(60)は「立春の日らしく、すがすがしいお酒に仕上がりました」と安堵の表情を浮かべていた。