沙也可の碑等視察 韓国観光公社長が来和

韓国の国営政府観光局・韓国観光公社の鄭昌洙(チョン・チャンス)社長が17日、和歌山市を訪れ、同国ゆかりの人物にまつわる碑が建つ紀州東照宮や岡公園などを訪れ、県庁の仁坂吉伸知事を表敬訪問した。

同公社は外国人観光客や国際会議の誘致などを行っている。鄭社長は同国大統領秘書室勤務、仁川国際空港公社社長などを経て、平成27年8月から現職。

鄭社長ら同公社スタッフと同国のメディア関係者約10人は関西国際空港から県内入りし、紀州東照宮を訪問。16世紀末の豊臣秀吉による朝鮮出兵の際、日本側に大義名分がないとして朝鮮側に鉄砲の技術などを伝え、帰化した、雑賀衆ゆかりの人物とされる日本人「沙也可(さやか)」の顕彰碑を見学。「雑賀衆・沙也可で街おこしの会」の辻健会長から解説を受け、鄭社長は「雑賀孫市はどんな人物だったか」などと質問していた。

一行は、紀州藩の儒学者・李梅渓が初代藩主・徳川頼宣の命で著した「父母状」の碑が建つ岡公園を見学し、韓国への修学旅行を実施してきた智弁学園和歌山の藤田清司理事長を表敬訪問した後、県庁へ。仁坂知事と歓談し、県日韓親善協会の小川武会長も同席した。

鄭社長は北朝鮮の軍事開発による東アジア情勢の緊迫化を巡り、サッカーのロシアW杯や北京冬季五輪の開催が決まっていることを挙げ、「近隣国は朝鮮半島の脅威を望んでいない。韓国は市民を対象としたテロが1度も起こっておらず、安全だ」と発言。仁坂知事は「(訪問に対し)心から感謝を申し上げる。双方向の観光交流をもっと盛んにしていきたい」と話した。

報道陣の取材に対し鄭社長は「韓国の人に和歌山の魅力を紹介したいと思っている。民間同士の交流を活発化させていきたい」と述べた。

紀州東照宮の沙也可顕彰碑を訪れた鄭社長㊨

紀州東照宮の沙也可顕彰碑を訪れた鄭社長㊨