当事者が集い、話す つばさの会で生駒さん
NPO法人和歌山市精神障害者家族会「つばさの会」(岡田道子理事長)の総会と公開講座が21日、同市吹上の市保健所で開かれ、和歌浦病院の生駒芳久副院長が「精神障害者と家族」をテーマに講演した。
会員の他、市民ら約110人が参加。
全盲の精神科医として今も診療に当たる生駒さんは、網膜色素変性症を患い、大学卒業後、会社員や公務員を経て県立盲学校に通ったことなど、自身の体験を基に講演。視力が低下する中、30歳を過ぎて医師を目指した際には、「生活さえできればいい」と考える親の思いとの間に、相違があったと振り返った。
自身の診察においては、当事者の思いに耳を傾けることを大切にしていると話し、「家族は当事者に比べて障害に対する見方や感じ方が違い、理解が異なることがある。それが双方の摩擦の原因になることもある」と指摘した。
また、悩みや孤独を乗り越えるために重要なこととして、「集う」「話す」「笑う」の三つを紹介。話を聞き、黙ってうなずき、共感してくれることには言葉を超えたものがあるとし「家族会のように、心配なことや情けないようなことを話せる場があると、一人ぼっちではないと安心することができる」と話した。
例えつらいときであっても、笑うことで気持ちがほぐれるとし、自身のウクレレ演奏に乗せ、会場の参加者と共に「上を向いて歩こう」を歌った。
岡田理事長は「障害者でありながら、心を見つめる精神科医として診療を続ける生駒先生。当事者でないと分からない貴重なお話が聴けました。家族会としても、親として子どもの思いを十分に理解できるよう、質の向上に取り組んでいきたいです」と話していた。