就活サイクルプロジェクト始動 清家氏講演
一度離職した女性や退職した高齢者、県外で働く県出身者などを対象に、再就職やUターン転職を支援する県独自の取り組み「就活サイクルプロジェクト」が7月から始まったことをPRするキックオフイベントが11日、和歌山市民会館で開かれた。慶應義塾大学商学部の清家篤教授(労働経済学)の講演などがあり、自治体や企業の関係者ら約560人が聴き入った。
同プロジェクトで県は、7月からを翌年4月の就職に向けた新しい就活期間とし、2月を合同企業説明会や採用面接などが集中する「就活強化月間」としている。12日には同市本町のWajima本町ビル3階に相談窓口「再就職支援センター」を開設した。
キックオフイベントで仁坂吉伸知事は、離職者を対象とした就職システムがないことを指摘し「第2の就活サイクルを確立したい」と意欲を示した。
清家教授は「総活躍@和歌山~皆さんの力で和歌山を成長させましょう~」と題して基調講演。少子高齢化による労働力人口の減少は経済成長を制約し、社会保障制度の持続可能性を低下させると指摘した。
対策として、高齢者と女性の就労促進を挙げ、高齢者については「定年の引き上げや年功賃金の見直しが有効」と話し、定年制の廃止を通じて業績向上や離職率の改善に成功した企業の例を紹介。「付加価値の高いサービスを提供するにはベテランの経験が必要」と訴えた。
女性の就労については、出産・育児などに対する支援やワークライフバランスの尊重が大切とし、OECD(経済協力開発機構)加盟国を例に「女性の就労率が高いほど出生率も高い」と強調した。
イベントではこの他、厚生労働省職員や経営者による雇用創造やワークライフバランスについての講演も行われた。