北方領土問題に関心を 近畿少年少女研修
次代を担う若者に北方領土について理解と関心を深めてもらう「第31回近畿ブロック少年少女北方領土研修」が22日、和歌山市のホテルアバローム紀の国で開かれ、近畿地方の15校の中学生100人が参加してディスカッションや講義を通して北方領土問題の経緯や現状を学んだ。
択捉島、歯舞群島、色丹島、国後島の4島からなる北方領土は、第2次世界大戦で日本がポツダム宣言を受諾した直後、旧ソ連が侵攻、占拠し、現在もロシアの実効支配が続いており、日本は固有の領土として返還を求め続けている。
生徒らは模擬授業で北方領土問題について考えた。白浜町立三舞中学校の小島覚教諭が日本以外の国がどちらの領土と認識しているのか、日本とロシアの条約の変遷などを紹介。グループに分かれた生徒らは、日本が返還を求める理由や歴史的経緯を踏まえ、解決策をそれぞれ発表した。
その後、学校で北方領土問題に取り組む北海道根室市の高校生が出前講座を実施。根室西高校2年の澤田侑香さんは、江戸時代に松前藩が最初に探索した北方領土の歴史を紹介。4島から脱出、あるいは強制送還された島民の平均年齢が高くなっており、問題の後継者がいないことや、ロシアによる地域開発が進んでいることなど、問題解決に向けた状況は悪化していることを説明した。
根室高校3年の佐々木レイさんは、「さっぽろ雪まつり」での北方領土フェスティバルや4島に住むロシア人とのビザなし交流など、自身も取り組んでいる返還運動を紹介。運動に参加する若者が減っていることから、「皆さんも情報発信者として一人でも多くの人に北方領土のことを伝え、関心を持ってもらいたい」と訴えた。
この日は、第23回北方領土問題教育指導者近畿ブロック研修会、平成29年度北方領土返還要求事務担当者近畿ブロック会議も開催。23日には、生徒らは社会見学として花王エコラボミュージアム・工場や県立博物館などを訪れ、閉会式に参加した。