柿の米国輸出が解禁へ 県産の有力販路に
国産生柿の米国への輸出が10月12日に解禁される。日米の政府間で検疫条件を巡る考えに隔たりがあり、輸出に向けた交渉は長く難航してきたが、ついに合意に達した。米国は柿の輸入量が増えており、日本一の産出量を誇る和歌山県からの有望な輸出先として期待される。
県食品流通課によると、両国間の交渉は昭和61年に始まったが、米国はカキ黒点病やカキヒメハダニなどの病害虫が日本で発生していることを理由に消極的な姿勢を示してきた。産地と生産者が農林水産省の登録を受けていることや、病害虫の防除を確認する検査を受けているなどの条件を満たした場合に輸出を認めることが決まった。
同国ではここ数年、柿の輸入量が急増し、平成26年は1757㌧だったのが28年には3263㌧に増加している。現在は輸入量の5~6割をスペイン産が占めているが、同課は「海外産は甘柿で小ぶりのタイプが多い。県産柿は渋柿で大きく、形に丸みがあり、差別化ができるのではないか」と期待を示す。
県とJA紀北かわかみは、ことし2月に米国ワシントンDCで開かれた日本食のイベントで県産柿をPR。来場者からは形の美しさや味について好意的な反応があり、輸出に向けて手応えを感じていたところで、うれしい輸出解禁となる。
同課は「米国は人口が多く、大変有望なターゲットと考えている。JAや日本貿易振興機構とも協力してやっていきたい」と意気込みを話している。