短編映画「七曲ブルース」 18日に試写会

 和歌山大学観光学部の木川剛志准教授(41)と、落語グループ「わかやま楽落会」は共同で、和歌山県和歌山市の雑賀崎や七曲市場を舞台にした短編映画『七曲ブルース』を製作。18日午後6時半から、ロケ地の七曲市場で試写会を開く。主人公が地方紙の記者という設定にちなみ、和歌山新報社内でも撮影が行われ、本紙記者も出演。脚本と監督を務めた木川准教授は「他にない魅力的な場所をロケ地に選んだ。夢の中のシーンを見るように、和歌山の風景を楽しんでもらいたい」と話している。

 講談師の玉田玉秀斎(たまだぎょくしゅうさい)さんと、楽落会のぴょんぴょん亭うさぎさんがダブル主演。落語でしか自分を語れない、老人と2人暮らしをする少女と、心の通った記事が書けなくなった新聞記者の交流を描いた心温まる人間ドラマ。

 10月に雑賀崎漁港や七曲市場などで撮影が行われ、同学部の尾久土正己教授(56)が撮影し、学生たちも関わった。

 木川准教授と楽落会の共作は、1月に「商店街映画祭」でグランプリを受賞した『替わり目』に続き2作目。前作を撮り終えて以降、児童福祉について考えるきっかけがあったといい、木川准教授は「さまざまな事情を抱える子どもたちに、絶対に幸せになれるんだというメッセージを届ける映画を作りたかった」と話す。

 今回テーマにしたのは、親から子に注がれる「理屈なしの愛情」。映画を撮るのは6作目という木川准教授だが、今回特に台本づくりに苦心したという。物語の中で新聞記者と講談師のつながりが暗喩的に描かれているのも見どころ。

 七曲市場の歴史にもふれ「戦後、市場が人々を勇気づけ心に火をともし、みんなで乗り越えてきた時代がある。この映画が(子どもを取り巻く)社会福祉を含め、忘れてしまったようなことを思い出すきっかけになれば」と思いを寄せる。

 少女役を演じた、ぴょんぴょん亭うさぎさん(11)は「自分の生活と少しかけ離れているので難しかったけど、いっぱい想像して、考えて演じました。お客さんがいない所で落語を表現するシーンに注目してもらいたいです」と話していた。

 当日は玉秀斎さんの講談や楽落会の落語もある。無料。申し込み不要。問い合わせは楽落会「nope930@gmail.com」。

講談師の玉秀斎さん㊧とぴょんぴょん亭うさぎさん(木川准教授提供)

講談師の玉秀斎さん㊧とぴょんぴょん亭うさぎさん(木川准教授提供)

和歌山新報社内でも撮影(左から2人目が木川准教授)

和歌山新報社内でも撮影(左から2人目が木川准教授)