「住宅と距離近過ぎる」風力発電学習会で講演
生石高原の麓に国内最大級の風力発電施設の設置が計画されていることを受け、地元住民らによる学習会が和歌山県紀美野町下佐々の同町総合福祉センターで開かれ、風力発電に詳しい歯科医師で日本野鳥の会会員の武田恵世さんが風車の設置・運転による人体や景観への影響などについて講演した。
実行委ときみの雑技団が主催。学習会は9月末に続き2回目。
同町を中心に、海南市や紀の川市、有田川町の計4市町に4500㌔㍗の風力発電施設72基を建設する計画で、最大出力は32万4000㌔㍗。事業者は日本風力エネルギー㈱(東京都)を代表社員とする合同会社「NWE―03インベストメント」と「NWE―09インベストメント」で、平成35年4月の運転開始を予定している。
武田さんは風力発電について、全国最多となる風車91基が設置された青山高原(三重県)を例に挙げ「成功例と言われたが、実際は故障が多く発電実績すら公表できていない」と指摘。風力発電が原発や火力に代わる有効なエネルギーとなるかどうかに関しては、ヨーロッパで風が止まり風車を動かせなくなった時に備えて火力発電所が新設された事実を紹介。「かえってCO2の排出量が増えた」とし、環境に対する悪影響が大きいと注意を促した。
風車の運転による騒音や低周波音などの影響については、県内で2000㌔㍗の風力発電施設により約3㌔離れた地点に住む住民が健康被害を訴えていることを紹介。事業者が風車と住宅の距離について約500㍍~750㍍と説明していることにふれ「近過ぎる」と批判した。