信用が事業つくる 幸福米穀の北本会長語る
和歌山商工会議所の新春経済講演会が7日、和歌山県和歌山市七番丁のモンティグレ(ダイワロイネットホテル和歌山)で開かれ、幸福米穀㈱(本社・大阪)の北本明取締役会長=北大阪商工会議所会頭=が「すべては心からはじまる」の演題で、同社設立から現在に至るまでの事業人生を語った。
北本会長は1940年和歌山市生まれ。県立和歌山工業高校を卒業後、伯父の米穀店で奉公を経て28歳で独立し幸福米穀店を創業。業界初の無洗米「あらったくん」の発売やトレーサビリティーシステムの導入をいち早く手掛けた。
米屋で奉公している時、飲食店へ営業回りを実践。熱心な外回りとサービスで客も増え、信頼関係の大切さを知った。幸福米穀店開業後も景品サービスや飲食店と提携したスタンプカードを作るなど顧客に喜んでもらえるサービスを展開し、売り上げを伸ばしていった。
93年、米が大凶作となり、全国の米穀店で行列ができた。同社の精米工場もフル操業していたが供給不能に陥り,在庫が3日分しか残っていないというピンチの中、本社に米を満載した30台以上のトラックが駆け付けた。「日頃から支払いや仕入れの約束を守ってくれているから、安心して渡せる」という流通業者の温かい言葉に、信用の大切さを痛感したという。
現在、同社は無洗米「あらったくん」をはじめ、玄米グラノーラ、スイーツの工場直売店舗シャトレーゼなどさまざまな事業を展開。創業50周年のことしは本社工場を新築する。北本会長は「自分があるのは和歌山のおかげ。商売人になる原点があり、初志貫徹する心を高校で学んだ。自分を送り出してくれた母と和歌山に感謝を絶やしたことはない」と締めくくった。