拉致被害者の救出訴え 中山議員、有本さん

和歌山憲法研究会(紀俊崇会長)は10日、和歌山県和歌山市三沢町の中央コミュニティセンターで、元拉致問題担当大臣の中山恭子参議院議員と拉致被害者家族会の有本明弘さんを招いた講演会とパネルディスカッションを開いた。

中山議員は東京大学卒業後、大蔵省へ入省。2006年第1次安倍内閣で拉致問題担当の総理大臣補佐官に就き、07年には参議院議員に当選。08年8月から拉致問題担当大臣を務めた。

有本さんは、北朝鮮に拉致された有本恵子さんの父。被害者救出を求め、解決に向けた活動を続けている。

テーマは「拉致問題と日本国憲法」で、当日は約100人が参加。講演で中山議員は02年に日本と北朝鮮間で「遺憾な問題が今後再び生じることがないよう適切な措置をとることを確認した」平壌宣言が結ばれたとを説明。北朝鮮側に日本人拉致を認めさせたが、「日本は国民が海外で拉致されていても直接救出にあたらず、相手国に任せる」という戦後の方針が憲法を基にしてあると主張した。

また、その後の日朝ストックホルム合意で、日本人拉致被害者らの再調査の実施が決まった経緯を紹介。ただ、合意内容が、帰国させる方向で「協議する」との記述のため、実際には拉致被害者が帰って来ることができていない経緯を説明。「どの国も国民が拉致されれば国を挙げて救出する。日本のようにお願いするだけでは、独立国家と決して見なされない」と論じた。

その後のシンポジウムで、中山議員と有本さん、紀会長がディスカッション。有本さんは「どの政権も逃げてしまった。外務省も政治家もふれないようにしたのが原因」と恵子さんが拉致されてから現在に至る状況への苦い思いを強調。中山議員は「政府が救出にあたるべきなのに、民間が動くという流れが続いている。今のところ民間で政府を動かすしか手はない」と話した。

パネルディスカッションに臨む(左から)紀会長、中山議員、有本さん

パネルディスカッションに臨む(左から)紀会長、中山議員、有本さん