実用性と可能性検証 紀美野の防災ドローン

 和歌山県の紀美野町と、各種情報機器などを手掛ける都築電気㈱(東京都港区、江森勲社長)は、さまざまな機種や機能が開発されているドローンの活用に関し、支援協力関係を締結。両者は防災を主な目的とする同機材の実用性や可能性を、町内各所で行ったデモンストレーションを通じて検証した。

 両者が結んだのは「無人航空機による災害時の支援協力協定」。同町が災害時において無人航空機による情報収集などが必要と認めるときは同社に協力を要請することが可能とし、同社は、空撮による静止画や動画と、3次元モデル化や縦横断面図作成などの画像解析の技術などを提供する。また、同町は都市部では困難な多様な機能を備えたドローンの検証場所を、同社に提供する。

 同町野中付近の貴志川で、赤外線カメラ(ZENMUSEXT)によるサーモグラフィー機能を備えた「Matrice210RTK」や最新の防水機能を備えた「Splash Drone」を試用。災害時を想定して同町役場総務課と現場を結び、ダイレクト映像配信の訓練も行った。

 サーモグラフィー機能を備えたドローンは、川に横たわったスタッフの体温を感知しオレンジ色の像で示し、防水機能を備えたドローンは着水し、水中の様子を鮮明に映し出した。

 訓練に参加した同町の谷垣内英雄消防署長(53)は「水難事故が起きた際には、ドローンの活用で行方不明者の捜索にも有効だ」と話していた。

 同社の北浦文輔広報室長(55)は「検証を行い、新機能活用の手応えを感じた。サーモグラフィー機能を高層ビルの保守点検に活用する例もあり、ドローンの可能性は広がっている」、同社の大阪支社に勤務し、JUIDA認定無人航空機操縦技能資格者の秋本公成さん(31)は「紀美野町の山間部をお借りして機器の検証ができてありがたい。大阪市とは近距離で、災害時には迅速な支援も可能なので、良好な関係を続けることができたら」と話していた。

 今回の訓練では、想定災害現場としてみさと天文台やふれあい公園などと飲食施設も空撮し、映像を観光PRにも活用する。

赤外線カメラを備えたドローンを操縦

赤外線カメラを備えたドローンを操縦