大臣在職時の渋滞対策に成果 経験、手法を和歌山に還元を

 先般の西日本豪雨によってお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。和歌山県内においてもけがをされた方、また家屋や道路の浸水等の被害もありました。被災地の復旧・復興、また事前防災・減災対策を含めた補正予算の編成等の議論も夏以降の国会(臨時国会)で本格的に始まってくるかと思います。
 その国会ですが、7月22日で通常国会は閉じました。終盤には恒例行事(?)となった内閣不信任決議案や委員長の解任決議案が相次いで出されるなど多少の混乱はありましたが、和歌山県も誘致に向けて積極的に取り組んでいるIR(統合型リゾート)法案についても、なんとか成立させることができました。
 そんな中、私が沖縄担当大臣在職時に取りまとめた「沖縄観光の交通モードの多様化」が一つ、形になったといううれしい報告がありました。那覇港から沖縄本島北部にある本部(もとぶ)港を結ぶ高速船の運航が、まずは実証実験という形で実現することとなったのです。
 ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、那覇市中心部の渋滞は“日本一”といわれており、これまでさまざまな対策が講じられてはきましたが、観光客数の伸びに伴うレンタカー数の増大もあり、追いついていないというのが現状です。大臣に就任し、沖縄の方と意見交換を重ねる中で、「この慢性的な渋滞は大きな経済的損失だ。どうにかしてほしい」という地元の方からの熱い要望を繰り返し頂きました。私も「できることは何でもやろう」と、考えつく限りの策を部局に指示して実行に移してきましたが、そのうちの一つが上述の高速船だったのです(残念ながら任期中に芽が出なかったものもたくさんありますが…)。
 この高速船ですが、①那覇港から本部港への直行ルート(所要90分)、②那覇港から北谷町・恩納村・名護市等を経由して本部港に到着するルート(所要145~200分)の二つの運航ルートを予定しています。渋滞の激しい那覇市中心部を避け、美しい景色を楽しみながら、美ら海水族館のある本部村に降り立つことができます。沖縄を訪れる予定のある方は、ぜひ試しにご乗船いただければと思います。
 ※実証実験の日程は8月上旬に正式決定される予定です。9月の上旬に計6日間行う予定になっています。詳しくは内閣府HPの沖縄政策のページをご覧ください。
 また、渋滞対策に関連して、「渋滞ボトルネック対策」についても役所より報告があがってきましたのでここで取り上げておきます。これも私が大臣時代に矢継ぎ早に打ち出した渋滞対策の一つで、県内の主な渋滞ポイントをリストアップし、その中から短期で対策を施せる箇所のみを抽出し、早期に工事に取りかかろうという施策です。例えば国道331号線、豊見城市内にある瀬長交差点。右折専用レーンが短く、右折待ちの車両が直進レーンをふさぎ、渋滞を引き起こす事例が多発していました。この場所は新たに用地取得の必要性もなかったため、常時左折可レーンの新設や右折レーンの延伸等の工事に速やかに着工でき、その結果、朝夕の渋滞をほとんど解消することができました。瀬長交差点も含め、「渋滞ボトルネック対策」として、2017年度には計18カ所の工事に取りかかり、そのすべてで工事が完了し、渋滞緩和の効果をあげています。
 このいわば「沖縄方式」ですが、和歌山においても同じようなアプローチをすることは十分可能だと思います。大臣在職時、私は「沖縄の抱える諸問題について一つでも道筋をつけ、沖縄の振興に寄与したい」という強い思いを持って日々の職務にあたっていました。と同時に、沖縄で実績をあげられた政策や手法については和歌山でも同じように導入できないか、という考えは常に私の頭の片隅にありました(バスの自動運転実証実験もそうです)。ここまで培ってきた経験を地元に還元していくことが私の責務だ、と今改めて考えているところです。