貴志駅前に観光拠点 案内所や交流スペース
和歌山電鐵貴志川線貴志駅(和歌山県紀の川市貴志川町神戸)前に市の観光交流拠点が完成し、2日にオープニングセレモニーが行われた。施設内には観光案内所を設けた他、体験交流スペースでは、地元の観光振興に取り組む地域住民らがワークショップを開くなどの活用法が想定されている。セレモニーでは、テープカットや市特産のフルーツを使った茶会などで完成を祝った。
たま、ニタマの歴代猫の駅長で有名となり、国内外から多くの観光客が訪れる同駅前で、フルーツや歴史ある寺社など市内の豊富な地域資源を知ってもらい、観光客と住民の交流を促進するのが目的。昨年12月に着工し、ことし5月に建物部分が完成した。
施設は木造2階建て、建築面積は34・78平方㍍、延べ床面積は54・65平方㍍。1階に観光地域づくりのかじ取り役を担う法人、日本版DMOの候補法人「紀の川フルーツ観光局」の事務所と観光案内所、2階に体験交流スペースを設置し、建物西側にはイベント広場がある。
設計と監理は一級建築士事務所金岡設計(同市重行、金岡由憲代表)、施工は㈱原組(同市江川中、中林勝美社長)。工事完了後は、壁塗り、ベンチやテーブル、いす作りのDIYワークショップを市民参加型で開き、延べ41人が参加した。総事業費は1605万円。国の地方創生推進交付金を活用している。
オープニングセレモニーには住民の代表や市議、市職ら約50人が出席。中村愼司市長は「ニタマちゃんを見に来てくれた人にどう他の場所に行ってもらうかが大事。2度も3度も紀の川市に行きたいと思ってもらえるように、この場所からしっかり発信したい」と意気込みを示し、和歌山電鐵の小嶋光信社長は「拠点が完成し、大変うれしく思う。にぎわいをつくり、地域の人と観光客のふれあいを増やすことが大切だ」と話した。
中村市長や小嶋社長らがテープカットを行った後、内覧会が開かれ、訪れた市民らが真新しい施設内を見学。2階の体験交流スペースでは巨峰やブルーベリーなど市産のフルーツで作った菓子を提供する記念の茶会が開かれ、子どもから高齢者までさまざまな年代の市民らが和菓子と抹茶を味わっていた。
3歳の長男と一緒に訪れた和歌山市の温水有紀さん(31)は「息子が電車や駅が好きなので貴志駅にはよく来ています。施設の完成を機に、多くの小さい子どもが訪れ、駅周辺がさらににぎわってくれたら」と話していた。