「IR反対へ候補必要」畑中氏が知事選出馬へ
労働組合や女性団体などでつくる政治団体「ゆたかで住みよい和歌山県をつくる会」(武内正次筆頭代表委員)のメンバーらが8日、和歌山市の県民文化会館で記者会見し、任期満了に伴う県知事選(11月8日告示、25日投開票)に市民運動家で、カジノ問題を考える和歌山ネットワーク事務局長の畑中正好氏(66)を擁立すると発表した。畑中氏は会見で県が進めるIR(統合型リゾート)の誘致に強く反対する考えを示し、「県民の懐からお金を巻き上げるIRを絶対につくらせてはならない」と強調した。
畑中氏は2014年の前回知事選に続き2回目の出馬。無所属で立候補し、共産党県委員会の推薦を受ける。
会見で畑中氏は8月下旬につくる会から出馬要請を受けたことを明かし、「他にもっと素晴らしい人がいるのではと思ったが、以前からIR誘致反対を公約に出馬する候補者が必要と考えており、つくる会が背中を押してくれた」と話した。仁坂県政について「官民一体となって和歌山の観光を元気にしたことは一定の評価をしたい」とする一方で「自民党に追随し、県民や地域経済を不幸にするIRの誘致にお金と人員を使っている。IRで利益を得る県民は一部。(多くの)県民が懐からお金を巻き上げられるのは避けられない」と批判。誘致活動の在り方についても「県民の声を無視して進めており、文書開示請求をして出てきたのは黒塗りの文書。非民主的で知る権利をないがしろにしている」と話した。
IR誘致反対以外では、農林水産業の振興や県民が医療、子育て施設を利用しやすくすることなどを訴えたいとし、使用済み核燃料中間貯蔵施設の受け入れ拒否を明確にする「核のゴミ拒否条例」の制定や地方税回収機構の廃止などにも言及。貧困のため税金や保険料を滞納せざるを得ない人から一方的に取り立てるのではなく、生活再建を支援すべきとし、「県民の命と暮らしを守り、住民が主人公の県政を目指す」と訴えた。
畑中氏は田辺市出身。同市立東陽中学校を卒業後、自動車修理工を経て、1974年からことし4月まで和歌山市の法律事務所に勤務した。冤罪(えんざい)被害者の救出やオンブズマン活動などにも取り組んでいる。知事選には、現職の仁坂吉伸氏が出馬の意思を表明している。