上野君けん玉新人王に 全日本選手権シード

 第34回けん玉全日本新人王決定戦が16日、和歌山県和歌山市の河北コミュニティセンターで開かれ、日本けん玉協会県支部の市立高積中学校1年、上野駿也君(13)が初挑戦で新人王に輝いた。日本一を決める来年5月の全日本けん玉道選手権大会のシード権も手にし、「うれしい。さらにレベルが高い大会になるので、練習して頑張りたい」と意気込んでいる。

 新人王決定戦は、日本けん玉協会認定段位が四段以下で、各種全国大会での優勝など一定以上の成績の経験がない人が対象。今回が初の県内開催だった。

 試合は、さかおとし、はねけん、一回転灯台など決められた10種目の技の成功回数が多い選手が勝つルール。学生(大学生以下)、社会人の各部門の予選に続き、部門別優勝決定戦、両部門通じての決勝が行われた。

 四段の上野君は、「予選は通ると思っていた」との言葉通り1次、2次予選を順調に通過。学生部門の決勝には4人が進んだが、うち3人が同点で並び、サドンデスへ。再び10種目を行い、上野君が優勝を決めた。社会人部門優勝の丸谷紗七枝さん(北大阪けん玉クラブ)との新人王決定戦でも集中力を切らさず、8―7で勝利。初タイトルを獲得した。

 けん玉を始めたきっかけは、県支部長で市立西和佐小学校教諭の向井智哉さん(32)との出会い。同小4年の時、数々の全国・国際大会で優勝や上位入賞の経験を持つ向井さんのパフォーマンスを見て「自分もやってみたい」と思い、5年生の時に向井さんが担任となったのを機に習い始めた。

 引き上げた玉の穴が上を向いているときに、けんを突き刺す技「天中殺」が得意。今大会の規定技ではなかったが、気に入っている。

 「みんなの目があるところで技をするのは静かで緊張もしますが、集中力がつきます」。今大会でも、予選から決勝まで安定して8種目以上を成功させられたことが勝利を引き寄せた。特に、けん先、けん、小皿、けん、大皿、けん、中皿、けんの順に玉を回す「宇宙一周」がよく決まった。

 シード権獲得により、全日本けん玉道選手権は予選が免除される。県支部から同選手権の本戦に出場するのは、向井さんに次いで2人目。向井さんは「和歌山から新人王が出たことは大きなこと。他の子どもたちも、頑張ったら出られると思ってくれたらうれしい」と喜ぶ。

 上野君は「四段まで出られる新人王を取れたので、次は五段を目指します」と話している。

新人王の賞状とけん玉を手に上野君

新人王の賞状とけん玉を手に上野君