デマ拡散防止を支援 和大がシステム公開

 和歌山大学システム工学部の吉野研究室(吉野孝教授)は、インターネット上で真偽を確認せずに行われる安易な情報拡散を防ぐための支援システム「Rumor Finder(ルーマー・ファインダー)」を開発し、一般に公開している。ウェブページ閲覧時にデマやうわさなどの流言をユーザーに示し、気付きを提供する仕組みで、信頼性が疑わしい情報の拡散防止につなげる。

 SNSの普及に伴い、誰もが情報を簡単に取得、発信することが可能となったが、十分な根拠がなく、真偽が疑われる情報が拡散される問題が深刻化。東日本大震災の際には「うがい薬を飲むと放射能汚染を防げる」、熊本地震でも「動物園からライオンが逃げた」などのデマ情報が飛び交った。

 支援システムは、同大学院システム工学研究科2年の柿本大輔さん(24)が、吉野教授や公立諏訪東京理科大学、奈良先端科学技術大学院大学の研究室と協力して開発した。

 流言の拡散防止に関する試みはこれまでも多方面で行われており、その多くは流言の検出や信頼性に着目した研究だった。柿本さんは、既存の流言収集システムを応用し、ユーザーが利用できる仕組みを構築。流言が拡散する要因には、人間による情報の真偽の確認不足があることから、流言を断定するシステムではなく、ユーザーに流言かもしれない情報を提示し、情報を発信する前に真偽の確認を促すものにした。

 ルーマー・ファインダーでは、ウェブページ内を解析し、検出した流言に該当する部分を色付けして強調表示。マウスオーバーすると、流言の内容や訂正情報(ツイート)、詳細リンクが吹き出しで表示される。流言の検出には、流言に対する訂正情報を抽出するシステム「流言情報クラウド」を採用した。

 柿本さんは「ユーザーに気付きを与え、情報の真偽を確認してもらうことが大事。検討を続け、行動へと移してもらえるようシステムを改善していきたい」と話している。

 ルーマー・ファインダーの詳細情報やダウンロード先は吉野研究室ホームページ(http://www.wakayama-u.ac.jp/~yoshino/lab/research/kakimoto_2018_2/)に掲載。ウェブブラウザ「グーグルクローム」の拡張機能として動作する。

公開している「ルーマー・ファインダー」の画面と柿本さん㊧、吉野教授

公開している「ルーマー・ファインダー」の画面と柿本さん㊧、吉野教授