野村萬斎さん親子が狂言で共演 万葉薪能

第20回「和歌の浦万葉薪能」が7日、和歌山県和歌山市和歌浦南の片男波公園野外ステージで行われた。

NPO法人「和歌の浦万葉薪能の会」が主催。今回は記念公演として狂言師の野村萬斎さん・裕基さん親子を迎え、約1300人が松林と潮騒、夕日を背景に、かがり火に照らされた舞台で演じられる伝統芸能を堪能した。

観世流能楽師、片山九郎右衛門さんらによる能「紅葉狩(もみじがり)」では、信州戸隠に伝わる鬼女伝説を基に、華やかで妖艶な世界が描かれた。

続く和泉流狂言「蝸牛(かぎゅう)」は、長寿の薬になるというカタツムリを捕まえるよう命じられた萬斎さん演じる太郎冠者が、裕基さん演じる山伏をカタツムリだと思い込んでしまう話。「でんでんむしむし」とカタツムリになりすまして太郎冠者をからかう山伏とのやりとりが、観客の笑いを誘っていた。

同市の観世流能楽師・小林慶三さん、金春流太鼓方・前川光範さんによるワークショップを受講した市民も成果を披露した。

田辺市から初めて訪れたという女性(67)は「狂言は現代の親子の象徴のようで、気の合った掛け合いが楽しく期待以上でした」と満足そうに話していた。

おかしみあふれる世界を演じる野村萬斎さん㊧と裕基さん

おかしみあふれる世界を演じる野村萬斎さん㊧と裕基さん