IRの効果と影響 経済、観光考えるシンポ

カジノを含む統合型リゾート(IR)のシンポジウムが24日、和歌山県和歌山市のダイワロイネットホテル和歌山で開かれた。行政関係者や中小企業、IR関連会社から約350人が参加し、IRによる地域経済への影響や観光振興などについて考えた。

和歌山IR推進協議会や県、和歌山商工会議所が主催。地域の特性を生かしたIRの有用性や必要性を発信し、誘致の機運を高めることを目的に開かれた。

シンポジウムでは仁坂吉伸知事がモデレーターを務め、HOTEL SEAMORE(㈱白浜館代表取締役会長)の北村尚武さんとモヒガンゲーミング&エンターテイメントのクリストファー・ジョーンズさん、精神科医の西村直之さん、EYJapan統合型リゾート(IR)支援オフィスサブリーダーの渡邉真砂世さんの4人をパネリストに招いた。

県の投資意向調査を支援している渡邊さんは、2800億円弱の投資を初期に行った大規模なリゾート施設であればカジノが収益性を下支えすると分析。「一過性ではなく長い期間の経済効果が期待できることは大きい。県としての試算、事業者の意見の双方から検討した結果をまとめており、説得力がある」と評価した。

ホテルの事業再生などを手掛ける北村さんは、IRが進むことでイベント型や体験型のアクティビティーが急加速で普及すると想定。周辺で観光事業を行う目線に立ち「質の高いおもてなしが求められる時代。質の向上を図っていくリーダーとしてのポジションを担うだろう」と考えを述べ、「暮らすように過ごせるIRを検討すべき」と訴えた。

IRの導入でまちの変化を目の当たりにしてきたというジョーンズさんは「前向きな、プラスな側面が和歌山にも見て取れる」と分析。和歌山の気候や地の利を特長に挙げ「ここを起点に、われわれのビジネスを広げていく可能性にあふれている」と興味を示した。

一方で、西村さんは懸念されるギャンブル等依存症対策について言及。薬物やアルコールなどの依存問題も他国に比べると対策予算や人員が貧弱だとし、「その中でギャンブル対策に動き出すこと自体、大きなプロジェクトだ」と述べた。さらにギャンブル等依存症は地域の変化で新たに起こるリスクの象徴にすぎず、「負のリスクを最小限にできるかは別の問題として考えるべき」と説明。仮に対策できるという前提で話を進め、エビデンスに基づいた費用対効果の高い対策を立て、県民が納得できるプランニングを提案するよう促した。

この他、GT東京法律事務所代表パートナー弁護士の石川耕治さんが「IRが和歌山にもたらすもの」と題して講演。仁坂知事が県IR基本構想の改訂についてプレゼンテーションした。

地域経済への影響や課題などを議論したパネルディスカッション

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