覚鑁や頼瑜を紹介 岩出民俗資料館で企画展
平安時代に真言宗の発展に尽力した僧の覚鑁(かくばん)や、その後の根来寺の発展に貢献した僧の頼瑜(らいゆ)らの功績を紹介する企画展「覚鑁上人の法灯の伝承者たち~根来寺のあゆみ~」が26日まで、和歌山県岩出市根来の民俗資料館で開かれている。
覚鑁は1095年、肥前の国(現在の佐賀県)に生まれ、16歳で出家。高野山を経て根来に移った。真言密教の仏の大日如来と浄土教の仏の阿弥陀仏は一体と説き、両者の融合を呼び掛けた。覚鑁の死後、根来寺では頼瑜が密教の研究をけん引。真言密教の経典「大日経」に登場する大日如来は大日如来そのものと考えられていた従来の説に疑問を示し、登場する大日如来は仮の仏と考える新義教学を発展させた。教えは聖憲など後世の僧に引き継がれた。
企画展では、覚鑁や頼瑜の肖像画、中世の根来寺一帯の景観を描いた絵図、江戸時代に紀州藩が根来寺に出した命令を記した制札(せいさつ)など計52点を展示している。
同資料館の味村満館長補佐は「根来寺の歴史は研究が進んできているが、一般には知られていない研究成果もまだまだ多い。紅葉を見に根来寺を訪れる人にはぜひ、資料館にも足を運んでほしい」と話している。
入館無料。午前9時~午後5時開館。13、20日は休館。25日は午後1時半から学芸員による30分間の展示解説がある。
18日午後1時半からは展示に関連する内容の講演会があり、県立博物館主任学芸員の前田正明さんが「泉南・紀北地域における近世の幕開け」と題して話す。入場無料。事前申し込み不要。定員約100人。問い合わせは同資料館(℡0736・63・1499)。