誠familyが初優勝 アジア太平洋デフバスケ

オーストラリア・メルボルンで開かれた第4回アジア太平洋デフバスケットボール選手権(11月20~25日)で、和歌山と大阪の聴覚障害者らでつくるクラブチーム「誠family」が初出場で初優勝を飾った。決勝で大会3連覇中の強敵を破っての快挙。日本代表も指揮する上田頼飛監督(37)は「体格差のある選手を相手に、戦術がうまくハマった」と勝因を語った。

大会は2年に1度開かれ、アジア太平洋地域の各国で行われた大会で優勝・準優勝したクラブチームが出場する。誠Ffamilyは昨年12月に行われた全日本デフバスケットボール選手権大会を制し、出場権を獲得した。

総当たりの予選リーグでシドニー・コヨーテズを84―69で破ると、続く台北、香港のチームにも危なげなく勝利。準決勝ではエンペラーズ(日本)を105―54の大差で圧倒し、決勝へと駒を進めた。

相手は過去3大会で頂点に立ち続ける地元メルボルン・シティ。スタメン平均身長190㌢と、10㌢以上の体格差のある難敵を相手に、選手たちが躍動する。津屋一球選手、長田拓巳選手が攻撃を活性化。組織的な連動プレーでチャンスを演出し、早川倫夫選手の3ポイントシュートで得点を重ねた。体格差をものともせず、リング下への果敢な攻めでファールを誘発。主力選手をベンチに下げさせることに成功し、試合の主導権を握った。終わってみれば92―70と大差での勝利。徹底された戦術と体格差を恐れない選手の強い気持ちが初優勝をもぎ取った。

誠familyは11人のうち9人が日本代表選手。2015年7月の世界選手権ではオーストラリアに40点差の大敗を喫し、同年9月のアジア太平洋デフリンピック予選でも17点差で敗れた。

あれから3年。クラブチームではあるが、「確実に差は埋まっている」と指揮官は手応えを語る。特に体格で劣る相手にもリング下のポジション争いができた点は大きな収穫となった。来年7月には世界選手権、11月にデフリンピック予選を控える。「この優勝は通過点。気を引き締め、来年の大会を見据えて準備したい」と力を込めた。

初出場で初優勝を飾った誠family(上田監督提供)

初出場で初優勝を飾った誠family(上田監督提供)