重量挙げ日本一へ 那賀高3年の藤谷選手
将来の活躍が楽しみな高校生アスリートが和歌山県立那賀高校(岩出市高塚)にいる。同校3年でウエイトリフティング部の藤谷柊(ふじたに・ひいらぎ)選手(18)だ。昨年10月には福井しあわせ元気国体の少年男子105㌔級クリーン&ジャークで全国2位。卒業後は、さらなる成長を目指し関東の強豪大学に進む予定の藤谷選手は「大学では高校で達成できなかった日本一になりたい」と意気込んでいる。
藤谷選手は紀の川市出身で182㌢、98㌔。小学1年から空手を始め、同市立打田中学3年の夏にウエイトリフティングに転向した。空手の道場を訪れた那賀高ウエイトリフティング部の川畑源大顧問(33)から熱心な誘いを受け、同高に進学。藤谷選手は「努力が数字となって表れるのがウエイトの魅力。地面を踏んばる力は空手で身に付いた」と話す。
川畑顧問は入学当初の印象について「(バーベルを持ち上げる)瞬発力はあったが、まだ線が細かった」と語る。「ウエイトの上達スピードは体の大きさ、筋肉量に比例する」との考えから、食事の量を増やすようアドバイス。藤谷選手は「お米を中心に暇さえあれば食べ、一日8食の日もありました」と振り返る。体重は入学当初から約15㌔増。持ち上げる際の安定感が高まり、成績も向上。多く食べる意識は部員間で徹底されており、1年の西野太佑選手(16)は「1食に丼2杯くらい食べている」と話す。
川畑顧問は加悦谷高(京都)から金沢学院大に進み、94㌔級で活躍。世界選手権の日本代表に選ばれたこともあり、藤谷選手は「力を入れるタイミングをよく分かっていて、いつもきれいに持ち上げる」と尊敬のまなざしを送る。選手たちには「体に少しでも違和感があったらすぐに伝えてほしい」と呼び掛けており、藤谷選手も入学以降大きなけがはなく順調に力をつけてきた。
昨年3月に石川県で開かれた全国高校選抜大会105㌔級で3位に入り、10月の福井国体には優勝を目指して臨んだ。藤谷選手は力を出し切ることができず2位に終わったことを知った時「頭の中が真っ白になった」と話す。
川畑顧問は今後の課題について上げ方が固まっていないことや精神面の不安定さを挙げ、「身体能力の高さを生かし切れていない。自信をつけ精神面が安定すればもっと結果が出る」と話す。藤谷選手は「イメージトレーニングの反復などを通じていつも同じような上げ方ができるように技術を磨き、大学では絶対日本一になりたい」と意気込んでいる。