利用減で存続危機 紀の川コミュニティバス
和歌山県紀の川市西部地域(貴志川・桃山・打田)と岩出市の駅、公共施設、病院やスーパーなどを巡回している地域の交通手段「紀の川コミュニティバス」の利用者が減少傾向にあり、両市は路線存続に向け、無料乗車券を配布するなど利用促進の取り組みを進めている。
紀の川コミュニティバスは2002年から両市が共同運行し、和歌山バス那賀が運営している。
紀の川市地域創生課によると、公立那賀病院に通院する高齢者や通学する高校生らの利用が中心となっており、利用者数はピークの2004年度が3万8669人に対し、17年度は3万2867人まで減少している。同課は「このまま減少が続けば、国や県からの補助金を受けられなくなる可能性もある」と危機感を募らせている。
乗車を促すため、両市は2016年度から毎年7月号の広報誌に無料乗車券を掲載してきたが、有効期間は10日間で、利用数は16年度が49件、17年度が42件、18年度が27件にとどまっている。
利用者数が伸び悩んでいる状況を打開しようと、両市はことし1月号の広報誌にも無料乗車券2枚を掲載し、有効期間を9月30日までの9カ月間に大幅に拡大した。さらに広報誌には「このままでは廃線となる可能性があります」と記載し、厳しい現状を市民に訴えている。配布部数は紀の川市が約2万5000部、岩出市が約2万3000部となっている。
広報誌を見た市民からは「存続が危うくなるかもしれない状況を初めて知った。一度乗ってみようと思う」との声も寄せられており、同課は「乗ってもらえればどこにバス停があるかも分かる。運賃も安いのでぜひ利用してもらいたい」と呼び掛けている。
運賃は大人150円(小児、障害者・介助者は80円)。紀の川市役所貴志川支所を発着点に、東回りと西回りの2コースを一日6回ずつ巡回し、同支所で乗り継ぎができる。
問い合わせは紀の川市地域創生課(℡0736・77・2511)、岩出市総務課(℡0736・62・2141)。