経験の機会創出 人材育成の高大連携シンポ

次世代の人材育成のために地域や学校は何ができるかを考える高大連携ミニシンポ「地域と学校と人づくり」が1月25日、紀美野町美里支所(神野市場)で開かれ、高校生や大学生、行政関係者、地域住民ら約30人が、人材育成のために多様な経験ができる機会の創出や、支える環境の必要性などについて議論した。

和歌山大学とりら創造芸術高校が主催し、町が共催。進行役は和歌山大学観光学部の藤田武弘教授が務めた。

活動報告で、りら高の中村巴菜さん、堀端玲衣さん、上芝宥輝さん、西川諒さんらは、地域起こしを担う学生団体「1LDK」として発表。同町の子どもと保護者を対象に開いた交流イベント「いただきます!一緒に作ろう世界のゴハン」について、準備から当日までの経緯を報告した。

「1LDK」は、中村さんが同校が毎年開いている世界民族祭の企画に携わった経験から「食をテーマに地域と世界をつなげたい」とイベントを立案して賛同者を募り、海南高、同大成校舎、りらの3校の生徒で結成。イベント開催まで約10回の会議を重ね成功にこぎ着け、「高校生が自主的に活動する姿を見てうれしかった」との感想が参加者から寄せられたことも紹介。「多くの大人に支えてもらい、自分たちの最大限の力が出せました」と話した。

トークセッションでは、りら高の山上範子校長、小川裕康副町長、地域住民の森谷泰文さん、高校生たちが参加。山上校長は「生徒が失敗を恐れず経験できる機会を創出することが大切。周囲の人には、そばにいてやってほしい」、小川副町長は「町民が誇りを持てる町づくりをして、人口減少を抑止していきたい」、森谷さんは「地域に土地活用の新たな仕組みも生まれている。紀美野で暮らしたいという若者がいれば、支えたい」などと述べた。

高校生たちは「イベントを無事に行えたのは人の絆のおかげと感じました。大人が話している内容の全ては理解できていないですが、高校生なりの意見をもっと発信したいです」と話していた。

この他、皇學館大学現代日本社会学部の岸川政之教授が「地域で育む高校生の可能性」をテーマに基調講演し、県職員の田村修平さんが和歌山大学大学院観光学研究科の修士論文「地域内文化資本の継承と創造の場としての学校の意義」を発表した。

トークセッションで話す出席者

トークセッションで話す出席者