自由と平等の均衡語る 政治評論家の森田氏

政治評論家の森田実さん(86)が1月30日、和歌山市友田町のホテルグランヴィア和歌山で講演した。和歌山放送の開局60周年を記念した情報懇談会で登壇し、「激動の2019年をいかに乗り切るか~和歌山から熱い政治の風が吹くⅡ~」をテーマに世界情勢や日本に必要な政策などを語った。

静岡県に生まれ、東京大学工学部を卒業し、日本評論社出版部長、『経済セミナー』の編集長を経て1973年に評論家として独立。ラジオやテレビなど多方面で活躍している。主な著書に『進歩的文化人の研究』『公共事業必要論』などがある。

森田さんは世界の流れから見ても19年は大変な年になると指摘。米中の緊張関係が進むのに関連して日韓関係を取り上げ、複数の防衛省関係者から耳にした話を紹介。これまでにも日韓両国政府の対立はみられたが、韓国軍による自衛隊機へのレーダー照射問題を巡り、今回のように防衛当局同士が冷静さを失うことはなかったと説明し、「今熱くなってるのは武器を持っている人たち。ひとたび誰かが引き金を引けば、コントロールが利かなくなる恐れを感じる」と話した。

資本主義社会における不平等、格差問題を解決するには、自由と平等の均衡点をうまく取ることしか手はないとした上で「資本主義に変わる社会ビジョンは今はない」と強調。「中世資本主義的な保守という考え方を基本にした中庸的な政策が必要」だとし、現在ある政治勢力の中では、二階俊博幹事長の自民党と公明党が政治の中心を築いてほしいとの考えを示した。

講演する森田さん

講演する森田さん