脂肪抑えた赤身ブランド 紀州和華牛を開発
和歌山県は12日、脂肪の少ない黒毛和牛肉の生産技術を開発したと発表した。熊野牛に次ぐ和歌山の新たな和牛ブランド「紀州和華牛」として生産拡大を図り、消費者へPRする。
同ブランドの認定基準は、県内で肥育された黒毛和牛▽県産副産物を1割以上利用した飼料で飼育▽ビタミン制限を行わず飼育▽肉質等級2、3、4に限る――の4項目。
畜産試験場によると、健康志向などから、脂肪を抑えた赤身肉のニーズに対応するため、2015~17年に近畿大学と共同研究を実施。市販飼料の多くはトウモロコシを主にした穀物飼料であり、県内でみかんジュースやしょうゆ、緑茶などを製造する過程で出る食品副産物を基にしたエコフィードで15~20%を代替した。市販飼料に比べてタンパク質やビタミンA、ビタミンEが豊富に含まれているのが特長で、脂肪分を抑えた牛肉を育てる技術開発に成功した。
エコフィードの利用により、飼料コストを低減。脂肪含量が通常に比べて約1割カットされ、老化やがんを予防する働きがあるとされるビタミンEの含量が約1・7倍の牛肉が完成した。
紀州和華牛は、エコフィードに力を入れるエコマネジメント㈱の牧場(御坊市)で生産している。今月下旬以降に和歌山市内の焼肉店やステーキ店など3店舗で順次、取り扱いを開始する。
仁坂吉伸知事は「脂身が少なく、ビタミンEが豊富で体にもいい。これから畜産業者や消費者にPRしていく」と話した。