7年ぶり増304億円 紀の川市19年度予算
和歌山県紀の川市は22日、2019年度当初予算案を発表した。一般会計は前年度比15億円(5・2%)増の304億7000万円で7年ぶりの増額。16年度以来、3年ぶりに300億円を超えた。避難所の機能強化やため池、河川の氾濫対策など防災の取り組みに力を入れている。特別会計や公営企業会計を含めた予算総額は13億1421万円(2・7%)増の508億7238万円。中村愼司市長は「災害で被害が出ないよう、市民が安心して生活できる安全なまちづくりを進める」と述べた。
〔一般会計歳入〕
自主財源は89億2978万円で、全体に占める割合は29・3%。市税は1億6342万円(2・6%)増の65億3424万円。繰入金は3億2640万円(52・9%)増の9億4371万円。地方交付税は2億5000万円(2・4%)増の107億4000万円を見込んでいる。市債は3億4130万円(9・7%)減の31億6280万円を発行し、19年度末の市債残高は283億8253万円を見込む。
〔一般会計歳出〕
性質別では、人件費などの義務的経費が2億446万円(1・5%)増の142億9155万円で全体の46・9%。投資的経費は1億7354万円(4・0%)減の41億1238万円。
目的別では、民生費が1億6197万円(1・5%)減の102億8857万円。教育費は荒川中学校校舎等改築事業費の増加などにより5億3455万円(20・1%)増の31億9388万円、農林業費は、ため池の防災対策推進や農業水路等長寿命化などで1億5702万円(17・0%)増の10億7863万円となっている。
〔重点・新規事業〕
「安全・安心」「子育て・教育」「産業・交流」「都市基盤・生活環境」「地域づくり・行政経営」の5テーマを掲げる。
「安心・安全」では、避難所や災害時に孤立する恐れがある山間部などへの防災備蓄倉庫の整備、障害のある人が避難所で他の避難者と円滑に情報交換できるよう、絵記号などを掲載したコミュニケーションボードの作成など、避難所機能の充実・強化に3743万円を計上。使用していないため池の機能廃止に2000万円などとなっている。
「子育て・教育」では、妊婦・乳幼児健診や予防接種の日程などを配信する子育て支援アプリの導入に111万円、保育所のガラス飛散防止対策に1080万円などを計上している。
「産業・交流」では、戦略的な観光地域づくりの核になる一般社団法人紀の川フルーツ観光局の運営支援に2865万円、市内事業者の事業承継の支援に34万円など。
「都市基盤・生活環境」は、和歌山電鐵貴志駅前の市営駐輪場の整備に1928万円、水道施設の被災に備えた応急給水体制の整備に1631万円などを計上している。
「地域づくり・行政経営」は、鞆渕地区の出張所や診療所など公共施設を複合化、再配置する取り組みに650万円、データを利活用する職員の育成に93万円などを充てる。