緊張感あるモノクロ 31日まで鈴木さん陶展

和歌山市の陶芸家・鈴木正史(まさし)さん(36)の陶展「即今只今(そっこんただいま)」が31日まで、和歌山県和歌山市十二番丁のMsギャラリー12番丁で開催中。鈴木さんは「生活空間を楽しむことは、丁寧に生きることにもつながる。作品を通じて、そんな提案ができればうれしい」と話している。

地元で開く初の個展。鈴木さんは星林高校時代に、ものづくりに興味を持ち、田辺市の陶芸家・出口清廣さんに師事。倉敷芸術科学大学で陶芸を学んだ後、京都やポーランドで経験を積み、現在は海南市にある「旧田島うるし工場」共同アトリエを拠点に活動している。

陶や磁土を使った、モノクロを中心にした食器や花器などが展示されている。作品は繊細で艶やかな磁器の皿や小鉢の他、趣のあるランプシェードなど。反りのあるシャープな面を持つ白磁の抹茶茶わん、香炉や水指、棗(なつめ)などの茶道具も並び「日本的なものが好きで、きりっとした緊張感のある世界が好きなんです」とにっこり。

木炭や樹皮のようにも見える手の平サイズのオブジェは、土を削る制作の過程で自然に生まれたといい「自分が作ったものというよりは自然物の感覚。質感や手触りに引かれますね」。

鈴木さんは「出合った素材に対し、どんな表現ができるか。ものづくりに終わりはなく『自分は、まだまだ』という思いはありますが、今持ち得る技術を皆さんに見ていただければ」と話している。

午前11時から午後7時(最終日は5時)まで。火曜休廊。土日・祝日は鈴木さんが在廊予定。問い合わせは同店(℡073・431・8255)。

美しい造形の作品と鈴木さん

美しい造形の作品と鈴木さん