インフラの早期復旧へ 県が2社と協定
暴風雨などの災害により大規模な停電や通信障害が発生する事態に備え、県は4日、関西電力㈱、西日本電信電話㈱(NTT西日本)のそれぞれと、早期復旧の妨げになる倒木や土砂の撤去など必要な支援を行う協定を締結した。両社とも自治体と結ぶ初めての内容の協定となっており、全国的にも珍しいという。
協定のきっかけは昨年9月の台風21号による被害。暴風雨で倒木や電柱の損壊、通信ケーブルや家庭への引き込み線の切断などが広範囲で発生し、和歌山県内の停電は34万5000戸で最長12日間、固定回線の通信障害は4400回線で最長26日間に及び、県民の生活に大きな影響が出た。
復旧に時間がかかった要因には、倒木や土砂などの障害物のために、停電や通信障害の発生現場に行き着くのが困難だったことがある。
電力設備に寄り掛かるなどした樹木の伐採は電力会社が行うなど、障害物の除去はインフラ事業者の責任で行う場合が多いが、今回の協定により、両社が復旧要員を派遣するのが困難な場合には県に依頼し、県が樹木伐採など障害物の除去を行う。市町村道に障害物がある場合も、県が市町村に業者の選定や助言などを行うとし、早期復旧に協力する。
協定締結式は県庁知事室であり、仁坂吉伸知事と関西電力の岩根茂樹社長、NTT西日本の小林充佳社長が出席し、協定書に調印した。
仁坂知事は「災害時に県民のために頑張る際、やってはいけないのが『これは私の仕事じゃない』と言うこと。和歌山には山間部に電線や通信線が多くある。昨年の台風の反省を踏まえ、復旧を早めるために県が助けに行く」と述べ、岩根社長は「県と一体になって早期復旧の体制を整えることができ、協定は極めて意義深い」、小林社長は「全国でもあまり例のない協定で、災害対応力を強化できるのはありがたく、大変心強い」と話した。