釣り人の声受け異例対応 古座川の濁り改善へ

1日にアユ釣りが解禁となった古座川では、先月21日の大雨で水に濁りが発生している。解禁を心待ちにしていた県内外の釣り愛好者らは県に対し、比較的水が澄んでいるダム湖上部の水を高さ102・4㍍のクレストゲート(非常用放流設備)から流し、下流の濁りを改善するよう要望した。県は28日、上流にある七川ダムの同設備から放流を開始。釣り人や住民の声が行政を動かすかたちとなった。

古座川でのアユ釣りは「清流なので魚自体がきれい」などの理由から人気が高く、県外からも釣り人が大勢訪れる。

和歌山県河川課や七川ダム管理事務所によると、同ダムは県と関西電力㈱が共同で管理しており、30日午後1時現在の水位は110・80㍍。21日の大雨でダム湖の底に泥水がたまり、高さ95㍍の発電用取水口から川へ濁った水を流したという。

県は濁りの対策として、23日午後7時から、通常は1秒当たり6㌧の発電用放流を最小限の3㌧に減らした。釣り愛好者や地元住民から水の状態の改善に向けクレストゲートからの放流を求める声が上がり、27日に古座川町と古座川漁業協同組合が県に同設備からの放流を要望。県は関西電力と協議し、発電放流をやめ、28日正午に同設備からの放流を開始した。

ダム管理事務所によると、同設備からの放流は過去数年間は例がなく、今回の対応は異例。濁りの程度が大きいことや、下流域住民からの要望もあり判断したという。「大雨の後はダム湖の水が一様に濁ることが多いが、今回は表面が濁っておらず、町からの要望もあり放流を決めた。川の状態を見ながら放流再開の時期については関電や地元と協議して決めたい」と話している。

古座川町でおとりアユの販売を営む田上智士さん(55)はクレストゲートからの放流を評価しつつも、「川の水の濁りが長期化すると、アユにストレスがかかり、病気にかかりやすくなる。県にはダムの濁り対策を強化してほしい」と話している。

濁りが見られる古座川(田上さんのフェイスブックから)

濁りが見られる古座川(田上さんのフェイスブックから)