「二宮金次郎」上映会 20日に盛和塾和歌山

 京セラ㈱創業者の稲盛和夫さん(87)の経営哲学を学ぶ「盛和塾」が2019年末で解散するのを前に、盛和塾和歌山(小池康生代表世話人)は20日、映画『二宮金次郎』の上映会を和歌山市民会館で開く。荒廃した農村の復興を成し遂げた金次郎の生涯を描いた作品で、小池さん(53)は「日本人としての生き方を見つめ直す機会になる映画。多くの人に見ていただき、和歌山のお役に立てれば」と話している。

 盛和塾は1983年、稲盛さんの哲学を学ぼうと、京都の若手経営者が立ち上げた自主勉強会に始まり、89年に設立。8月末現在で6カ国・地域に104塾、約1万5000人の塾生がおり、93年7月に発足した盛和塾和歌山では約100人が学んでいるが、稲盛さんは高齢などを理由に塾の活動を本年末で終了すると表明している。

 今回の上映会は、盛和塾和歌山として最後に行う対外的な活動。来年以降は、「心を高める経営を伸ばす会」として、これまでの活動を引き継ぎながら再スタートする。

 稲盛さんは、企業の経営はトップが持つ哲学、心、理念、信念によって大きく左右されるとし、経営者が人格を磨き、心が変わることによって、企業の安定と隆盛を図ることができると述べている。

 二宮金次郎は、荒廃した600以上の農村の復興を手掛けた人物であり、稲盛さんも塾生への講話などで何度も取り上げてきた。自らの考え方を粘り強く訴え、人々の心と行動を変えることで困難な事業を成し遂げた金次郎の映画の上映は、盛和塾の活動としてふさわしく、地域貢献にもつながると企画した。

 映画はことし完成した作品。監督は『地雷を踏んだらサヨウナラ』の五十嵐匠、プロデューサーと脚本は『武士の家計簿』の永井正夫と柏田道夫が再タッグを組むなど、ベテラン映画人が制作に名を連ねる。キャストは、主人公の金次郎に合田雅吏、妻・なみに田中美里、反発する百姓・五平を柳沢慎吾が演じる。

 小田原藩主から桜町領の復興を任じられた金次郎は、「この土地から徳を掘り起こす」と、新しい方法で事業に取り組むが、保守的な百姓から反発され、藩から派遣された侍には妨害を受けるというストーリー。

 映画と原作(三戸岡道夫『二宮金次郎の一生』)の両方から感銘を受けたという盛和塾和歌山世話人の前川佳輝さん(60)は「素晴らしい作品なので、ぜひ多くの皆さんに見ていただきたい」、小池さんは「人間として正しい行動は何なのか。利他の心、謙虚さ、努力を怠らないこと、変わらない大切なものにふれてほしい」と来場を呼び掛けている。

 上映は午前10時から、午後2時からの2回。入場料は500円。全席自由で定員各回500人。

 入場券の申し込み、問い合わせは盛和塾和歌山(℡073・433・5662=祝日除く月・火・木・金曜の午前10時~午後3時、メール)。当日の購入もできる(満席になり次第終了)。

映画のポスターを手に小池さん㊧と前川さん