熊楠に学ぶ姿勢 和中桐蔭140周年で講演
和歌山県立桐蔭中学・高校(和歌山市吹上、木皮享校長)で6日、和中・桐蔭創立140年記念の教育講演会が開かれた。同校の卒業生で、南方熊楠記念館(白浜町)の谷脇幹雄館長が旧制和歌山中学校出身の南方熊楠について講演し、生徒1080人が地元の偉人について学んだ。
谷脇館長は熊楠の生涯を紹介し、生徒に視野の広さや学びの姿勢を学んでもらいたいと語った。熊楠は8歳で百科事典『和漢三才図会』を読み、書き写すなど幼少期から才能を発揮。東京大学予備門(現東京大学教養学部)に進学してからも大森古墳などを行き巡って大学を中退。アメリカ、イギリスに渡り、キューバで植物採集やロンドン・大英博物館で蔵書を筆写するなど一層知識を吸収し、学術誌「ネイチャー」にも寄稿した。
帰国後は明治政府の神社合祀(ごうし)令に対し、史跡や生物のすみかがなくなる恐れから反対運動を行い、自宅の木から新種の粘菌「ミナカテルラ・ロンギフィラ」を発見。昭和天皇の行幸の際には神島を案内し、標本を進献した。
谷脇館長は「アメリカに留学し、孫文と親交を深めた熊楠の国際性や幅広く知識を深めた学際性、知りたいことを素直に調べる姿勢を学んでもらいたい」と述べた。