「一橋家」の史料を展示、歴史館
前号では、水戸徳川家の数々の史料を所蔵する徳川ミュージアムと、光圀の隠居の住まいとして知られる常陸太田市の西山御殿を取り上げた。
今週は、一橋徳川家から寄贈された史料をはじめ、茨城県の歴史に関する展示を行う茨城県立歴史館を紹介したい。
茨城県立歴史館は昭和49年に開館した文化施設で、水戸市に位置する。旧県立水戸農業高校の敷地に建設され、同校の本館が保存されている。文書館と博物館の二つの機能を持ち、古文書などが収蔵されていることも特徴の一つ。
敷地内には移築された江戸時代の建築物や、明治時代の洋風校舎「旧水海道小学校本館」が建つ。同校舎は常総市から昭和46年に移築されたもので建築されたのは明治14年。明治から昭和初期にかけての教育に関する資料や、日本最古級とされる1865年製のグランドピアノなどが展示されている。
特筆すべきことは歴史館内にある「一橋徳川家記念室」。同家から寄贈された約6000件に及ぶ美術品や古文書などを収蔵し、昭和62年に開館。一橋徳川家は、11代将軍・家斉や、15代将軍・慶喜を出したことで知られるが、徳川将軍家の親族にあたる御三卿(ごさんきょう)の一つ。一橋家は8代将軍・吉宗の四男・宗尹(むねただ)を祖とする。享保20年(1735)に元服した宗尹は徳川を名乗り、元文5年(1740)江戸城一橋門内(現在の東京都千代田区大手町1丁目付近)に屋敷を与えられたことから、一橋家と呼ばれるようになったという。
記念室は3月中旬まで調査・研究のため休室。開室後の展示物に期待したい。 (次田尚弘/水戸市)