IoTで高齢者のごみ出し支援 和大の中村さん

さまざまなものをインターネットでつなぐIoTの活用を考える京セラコミュニケーションシステム㈱主催のアイデアコンテストのアイデア部門で、53点の応募の中、和歌山大学システム工学部3年生の中村鴻成さん(21)が最優秀賞に輝いた。中村さんは家庭用IoTごみ箱で、ごみ出しが困難な高齢者を支援するシステムを提案。ごみ出し支援と見守りを両立させる発想が評価された。

コンテストでは大学生や専門学校生らを対象に、ネットワーク規格「Sigfox(シグフォックス)」を使ったアイデアを募集。アイデア部門とプロトタイプ部門で行われ、書類選考通過後にプレゼンテーションを行う。

中村さんが提案したシステムはごみ箱に超音波センサーを取り付け、ごみの蓄積量を計測。一定量がたまると地域のごみ出し支援者が持つアプリに場所が表示され、支援者がごみ回収に行くというもの。数日間、蓄積量に変化がない場合は緊急連絡先に自動でメールが届き、安否確認ができる。

祖母の代わりに集積所にごみを持って行く父を見て、中村さんは一人暮らしの高齢者がどのようにごみ出しをしているのか疑問に思い、筋力の低下や認知症などでごみ出しに行けない「ごみ出し困難者」や、代わりに収集し声掛けをする支援者の存在を知った。書類選考では回収日に全ての家を回る支援者向けのシステムを考えていたが、プレゼンテーション前に高齢者向けに考えを転換。ごみ出しの現状調査を踏まえ、安否確認といった付加価値も添えてアイデアを固めていった。

コンテストでは審査員にアドバイザー、他の参加者を前に発表。リハーサルは緊張して予定の半分の時間で発表を終わらせてしまったが、本番は予定通りに終え、質問にもしっかり返答。考えてきたものをしっかり出せたという。審査員からは、ごみ出しの負担軽減とともに高齢者の「監視されている」という感覚を減らしつつ見守りができる点が「Welcomeな発想」として受け入れられた。

大学では、ものやシステムのデザインを学び、ドーナツ型の手すりで「介護の視点から暮らしをイノベーションするデザインアワード」でも最優秀賞を獲得。中村さんは「今はポスターを作っている。今後もコンペには応募して、デザイン分野でも上を目指していきたい」と話している。

トロフィーを手に中村さん