学びやとの急な別れ 県立高校で卒業式

新型コロナウイルスの感染拡大により、政府が全国の小中高などを臨時休校にするよう求めたことを受けて、和歌山県内の一部の高校では28日、急きょ、予定されていた卒業式を前倒しで行うなどして対応。和歌山市の県立桐蔭高校と和歌山工業高校では在校生や保護者、来賓のいない中、卒業生に卒業証書が授与された。

3月2日に卒業式を予定していた桐蔭高校(和歌山市吹上)では、本来は在校生や来賓、保護者が出席する予定だったが、この日は卒業生275人と教職員のみが出席。全員がマスクを着用し、時間を短縮して実施した。

木皮享校長は「ただ生きるのではなく、ソクラテスの『善く生きること』を大切にしつつ、校庭のクスノキのように大きな人間として社会で活躍してほしい」と式辞。

卒業生代表の瀧本英智君は「3年間学ぶことを支えてくれた人に感謝し、桐蔭高校の一層の発展を願います」と答辞を述べた。

C組の西迫佑菜さん(18)は「朝に卒業証書の授与をすると聞いた。急で実感はなかったができて良かった」と話した。

同市西浜の県立和歌山工業高校(西村文宏校長)では3年生約380人が式に出席した。

感染対策のため、入口にアルコール消毒液を設置。在校生は参加せず、卒業生もマスク着用で参加。式の時間短縮のため、卒業生の名前は読み上げず、7学科の代表者が卒業証書を受け取った。

代表者に卒業証書を手渡した西村校長は「不透明な世の中が良くなるように、自分の幸せだけでなく、周りの人の幸せを考え努力してもらいたい」と式辞を述べた。

答辞は電気科の新井太陽君が3年間を振り返り「行事や日常生活全てが大切な思い出。振り返ればたくさんの出会いがあり、感謝にあふれている。ここで身に付けた知識と精神で、なりたい自分に向かって進んでいきます」と述べた。

卒業証書を受け取る卒業生(桐蔭)

 

退場するマスク姿の卒業生(和歌山工業)