新規抗がんワクチン開発 県立医大が成果を発表
和歌山県立医科大学は16日、抗がん活性が強く免疫機能の司令塔である樹状細胞に、がん抗原ペプチドを選択的に送達させる新規抗がんワクチンの開発に成功したと発表した。同大学外科学第2講座(山上裕機教授)と県立医科大学先端医学研究所生体調節機構研究部(改正恒康教授)の共同研究。研究成果は2月18日に国際誌「British Journal of Cancer」(電子版)に掲載された。
和歌山市紀三井寺の同学で行われた記者発表で、同講座の水本有紀学内助教と同講座の勝田将裕准教授、同研究部の改正教授が出席し研究の成果を発表した。
がんに対する免疫療法が注目され、がん抗原ペプチドや免疫チェックポイント阻害剤が使用されているが、いまだ効果が十分でない。
今回の研究では、がん細胞を退治する「細胞傷害性T細胞(キラーT細胞)」応答を誘導する活性が強い樹状細胞サブセット(ケモカイン受容体XCR1を発現する樹状細胞、XCR1陽性樹状細胞)に、がん抗原ペプチドを選択的に送達できる新規抗がんワクチンを作成し、その効果をマウスで実験した。
ワクチンは通常のがん抗原ペプチドよりも強力な抗がん効果を示し、免疫チェックポイント阻害剤(抗PD―1抗体)を併用して投与することで抗がん効果を相乗的に高めることができるという。
またXCR1陽性樹状細胞がヒトにも存在することから、今後は「ヒトXCL1」を介し「ヒトXCR1陽性樹状細胞」に送達させることで、より有効ながん免疫療法の開発が進むことが期待される。