似顔絵捜査向上へ 県警が技能指導官を任命
専門的技能を生かして警察の捜査力向上を図る「技能指導官」に鑑識課機動鑑識班の尾﨑省志警部補(57)が任命され、6日に和歌山県警本部の第7会議室で任命式が行われた。
尾﨑警部補は1986年に警察学校を卒業し田辺署に配属された。約30年にわたり鑑識に携わり、容疑者の捜索などに使われる似顔絵を作成。これまでに290件以上の事案で320枚近くを描いてきた。似顔絵により犯人検挙に貢献したとして刑事部長賞を6回受賞した他、鑑識全般に関わる検挙や装備の改善研究の分野で警察庁から表彰も受けている。
似顔絵は目撃者の話を聞いて描く。特徴を聞き出し、年代や背格好、服装、目の大きさ、雰囲気などを線の濃淡を使って描いていく。目や口などパーツの形と配置のバランスが合っていないと、本人に似た絵にならないという。
芸術大学を卒業したため、デッサンの技術はあったが、実物を見ずに情報だけで描いた経験はなく、初めは手探りで行っていたという。被疑者や行方不明者、指名手配犯の数十年後の姿などを描いてきた。似顔絵は男性が多く、初めて女性を描いた時には複雑な髪型を示す用語が分からず苦労したという。
現在は自身が描くよりも指導にあたることのほうが多く、県内各署の希望者向け講習会で講師も務める。似顔絵を描ける人が増えるのはうれしいことだという。
檜垣本部長から任命書を受け取った尾﨑警部補は「今も指導しているが、さらに力を入れて指導していきたい。描ける人の裾野を広げていきたい」と話した。