寄付金の使途巡り紛糾 和市の動物愛護CF

和歌山県和歌山市が動物愛護のために犬や猫の不妊去勢手術を行う費用として募ったクラウドファンディング(CF)の寄付金の一部が、本来と異なる趣旨で使われているとの指摘が24日の市議会厚生委員会であった。市は「動物愛護思想の啓発のために充当した」として目的外使用を否定したが、同委員会は市に使途の詳細資料の提出を求め、28日の委員会で改めて審議する。尾花正啓市長の出席も要請しており、市の対応が注目される。

市は2019年10月オープンの市動物愛護管理センターでの殺処分ゼロを目指し、犬や猫の不妊去勢手術のための設備費などに充てるため、18年5月から12月にかけて、ふるさと納税で資金を募る「ガバメント・クラウドファンディング」を実施。目標額1800万円を大きく上回り、2790万2545円が集まった。

24日の厚生委員会では、芝本和己議員がこの問題を取り上げ、寄付の一部が当初予算を充当する形で使われていると指摘。18~19年度の使途に印刷製本費、自動車保険料、賃借料などが含まれているとし、「クラウドファンディングを適用する項目ではない」と批判した。

佐伯正季健康局長は「動物愛護思想の啓発のために充当した。当初(予算)でとってはいたが、寄付金の充当先として適当ではないかと、財政(局)と協議してそうなった」と説明。使途は市ホームページで公開する考えを示した。

芝本議員は「寄付した人の気持ちを踏みにじっている」と重ねて批判し、奥山昭博議員は「自動車保険料などはクラウドファンディングに関係なく掛けなくてはいけない費用。基本的なものは当初予算で持つべきと(財政局を)突っぱねなければいけない」と苦言を呈した。

川端康史副委員長が、寄付金を何に充当したのか詳細な資料を提出するよう市に要請。市も改めて使途を説明するとしており、議論は28日に持ち越された。

この問題を巡って別の市議は、クラウドファンディングで集まった寄付金を一般財源で取り扱ったことが問題の原因と見る。余剰金や年度をまたぐ繰越金の処理の際、一般財源であるために、目的外と批判されかねない使途にも安易に充当する形になったのではないかと指摘。目的を限定した基金を創設するのが望ましいと話した。

和歌山市が寄付を募ったクラウドファンディングのサイト

和歌山市が寄付を募ったクラウドファンディングのサイト