サーフィンとシラスの街「磯の浦・本脇」

前号では、地形が織りなす海の恵みと題し、紀の川河口の人気の釣り場を取り上げた。今週は進路を北西へ進め、磯の浦・本脇エリアへと進みたい。
「磯の浦海水浴場」は、前々号で紹介の河西緩衝緑地の西端に位置する。空からは南に開けたビーチが見える。ビーチの長さは東西に1200㍍あり、浜から沖合100㍍の地点でも水深が1・5㍍程度と遠浅であることが特徴。「大阪から一番近いサーフィンのメッカ」として知られ、年間を通しサーファーの来訪が絶えない。夏季は海水浴客が多く訪れるため、サーフィンエリアと海水浴エリアに区切られ、双方が安心して利用できる。
現地ではサーフィンが初めての人から参加可能なスクールが開講されるなど、海と親しみ、思い出づくりができる機会が提供されている。南海加太線の磯ノ浦駅からのアクセスの良さも魅力だ。
この海の沖合で行われるのがシラス漁。海水浴場に隣接した「西脇漁港」で水揚げされたシラスを仕入れ、釜揚げやちりめん、つくだ煮を製造し販売する店が建ち並ぶのが本脇エリア。
シラスはイワシ類の稚仔(ちし)魚で体長35㍉以下のものを指す。県内の漁獲量は約1500㌧で、全国シェアは約3・2%、都道府県順位は13位(平成30年・農水省公表値)。ちなみに、漁獲量1位は兵庫県(約9400㌧)、次いで愛知県(約6800㌧)、静岡県(約5800㌧)となっている。漁獲量を全国で見るとシェアは高くないが、紫蘇の葉と梅干しを絡めて食べる和歌山ならではのシラス丼は絶品で、他県の方々にもおすすめしたいもの。
海との触れ合いを楽しめる磯の浦・本脇。訪れてその魅力に触れてほしい。
(次田尚弘/和歌山市上空)