高齢者分野で交流促進 県と山東省オンライン

友好提携締結から36年を迎えた和歌山県と中国・山東省は、介護など高齢者分野での連携を進めており、第2回高齢者施設交流セミナーが18日、オンライン形式で開かれた。和歌山市の県民文化会館と省都・済南市など省内3カ所の会場に計100人以上が参加し、県の高齢者施設関係団体による講演などが行われた。

県と山東省の高齢者分野での協力は、省側の提案でスタート。18年に福祉施設関係者の相互訪問を行い、友好提携35周年を記念して仁坂吉伸知事らが訪中した19年10月には、済南市内で両県省の高齢者施設関係者らによる第1回のセミナーが開かれた。

中国では、2015年まで行われていた「一人っ子政策」により生産年齢人口が減少し、今後、急速な高齢化が確実視される。山東省は高齢者の割合が国内でも最も高い水準にあり、19年の省内人口に占める60歳以上の割合は23%(2325万人)、65歳以上は16%(1588万人)。医療・介護が連動した施設やシステムを構築する政策を急ピッチで推進しており、先行する日本のサービスや技術も積極的に取り入れようとしている。

オンラインセミナーでは、県の北山徹・国際担当参事が両県省が交流の実績を着実に重ねていることを歓迎し、山東省外事弁公室の孫業宝副主任が「和歌山は重要なパートナーであり、今回の交流を重視している」とあいさつ。県老人福祉施設協議会の竹中昭美会長、県老人保健施設協会の上田耕臣会長、老人保健施設ライフケア有田の池本英司施設長の3人が講演した。

竹中会長は、施設長を務める天美苑(海南市七山)を例に、特別養護老人ホームやデイサーボス、訪問看護、グループホームなどのサービスの形態や内容の違いを説明。利用者が尊厳をもって生活できるよう努め、施設・サービスが利用者本人にも家族にもなくてはならない存在になっていることなどを話した。

上田会長は、介護老人保健施設では自立した在宅生活が続けられるよう、地域と協力して支援していることを紹介。池本施設長は、認知症のリハビリに活用しているIoT介護ロボットの成果などを語った。

山東省側からは、施設の規模や職員に必要な専門資格など多様な質問が寄せられていた。

講演する竹中会長㊨

講演する竹中会長㊨